軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39「何事もなかったように話が進んでいるんじゃね?」

「ようこそ河童の集落へ! まさか同郷の方々とこうしてお会いできるとは思いませんでしたぞ!」

夏樹たちを出迎えてくれたのは、河童の集落の長老だという。

可愛いぬいぐるみのような河童さんに仙人のような長い髭が蓄えられている。

「今宵は歓迎の宴をしましょうぞ!」

「いえいえ、お構いなく。俺たちもまだすべきことがあるので、長居はできないんです」

「……そうですか。それはとても残念です。ならば、お連れ様たちが回復されるまでしばしゆるりとお過ごしください」

「ありがとうございます。そうさせていただきます」

夏樹は長老に深くお辞儀をして礼を言う。

どういうわけか、小梅たちは気絶してしまった。

いつの間にか森を守る結界も消失していたので、河童さんのために夏樹は森に住まうモンスターをすべて駆逐した。

そんなとき、河童さんたちと遭遇したのだ。

河童さんは最初こそ夏樹たちを警戒したが、仲間の河童がいることや、小梅たちが倒れていることもあって、優しい種族なのだろう、夏樹たちを集落に受け入れてくれたのだ。

そして夏樹は長老を名乗る河童さんと腰を下ろして話をしていた。

その際、日本から来たことを伝えている。

「しかし、このような偶然もあるのですね。日本人とこの地でお会いできただけでも驚きなのに、まさか向島市の方だったとは思いもしませんでいた」

「俺もです」

こちらの河童さんたちは向島市出身のようだ。

なぜそんな河童さんたちが異世界にいるのか不思議でしかないが、彼らに大事なことを伝えなければならない。

「この世界でやるべきことをやったら、俺たちは日本に帰ります。その際に、一緒に帰ることができます」

「――本当ですか?」

「はい。少し時間をもらう形になりますが、向島に一緒に戻れることを約束します」

「……ありがたい。本当にありがたい! 我々はもう二度と故郷に戻れないと思っていました。しかし、帰れる! それが、本当に嬉しい!」

「――よかったです。一緒に帰りましょう、向島市に」

夏樹が手を差し出すと、河童長老がしっかりと握りしめた。

「で、ですが、我々にはあなたに差し上げることのできる対価がありませぬ」

「対価なんていりません」

「しかし」

「俺は河童さんのためなら、どんなことでもしましょう!」

「な、なぜそこまで」

河童長老は、夏樹の行動理由がわからなかったのだろう。

仕方がないことだ。

見ず知らずの人間の少年が、こうも河童に寄り添ってくれるなど考えられないのだ。

夏樹は笑顔を浮かべると、河童長老を安心させるように告げた。

「――なぜなら俺は河童さんの守護聖人! ギャラクシー河童勇者なのですから!」

「なぁに、それぇ?」

キメ顔で言った夏樹であったが、河童長老さんには残念ながら伝わらなかった。