軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「俺の知ってる義妹と違うんじゃね?」③

佐渡ひなたは、佐渡家の実子ではない。

両親の幼馴染みの夫婦がひなたを産んですぐに事故によって他界したことをきっかけに、たらい回しになりそうになった子供を引き取ったという経緯がある。

ひなたは佐渡家の養女となり今も大切に育てられている。

そんなひなたは、両親が大好きだ。

優しく、穏やかで、しかし道を間違えそうになると厳しく叱ってくれる。そんな両親が本当に大好きだった。

――そして、兄祐介のことはひとりの異性として慕っている。

だが、どれだけアプローチをしても気持ちに気付いてはもらえなかった。

デートしようと誘い買い物や、遊園地、水族館、映画、ふたりで泊まりに行ったことだってある。しかし、あくまでも妹でしかない。

お風呂中に「間違って入っちゃった!」と言って一緒したこともあったが、頭を洗ってもらって終わりだ。

妹というよりも子供のように思われていると確信した。

兄は人柄もよく、家柄もよい。

高校時代の祐介に、金目的で近づいてくる女もいた。

だが、ひなたが対策をどうこうする必要はなかった。

――なぜなら、兄佐渡祐介はモンスターが大好きなのだ。

モンスターだけではない。

妖怪、魔族、神々、そういう類のジャンルが大好きだった。

ひなたは今でも忘れられない。

兄の好みを知ろうと部屋を大捜索したとき、モンスター娘に人間が捕まってあんなことやこんなことをされてしまうコミックが大量に出てきたときのことを。

性癖はひとそれぞれだ。

少々特殊だからといって偏見はない。

だが、いくらなんでも、人間のひなたがモンスターにはなれないのだ。

「義理の妹」というだけで、様々なジャンルで多くのストーリーがあるというのに、祐介は義妹に決してなにか魅力を感じていない。

家族としては、最高だ。兄にとってひなたは義理ではなく、妹なのだ。

しかし、異性としては、「せっかく義理の妹という属性を持っている子が近くにいるんだからさぁ!」と思ってしまう。

このままでは近い将来兄を押し倒さなければならない。

だが、生身の人間である自分に反応してくれるかどうか不安だった。

ちなみに、両親はひなたの想いを打ち明けられて知っている。

父は「……かわいいひなたがお嫁にいかないことが嬉しい」と泣き、母は「お兄ちゃんの趣味に負けずに頑張りなさい」と応援してくれている。

だからこそ、佐渡ひなたは負けられないのだ。

ひなたは学校から上履きのまま飛び出して街を全力疾走していた。

目的は、間違いなく見た魔法少女だ。

「絶対に魔法少女だった! 見つけて、捕獲しなきゃ!」

ひなたの目的は、至極単純である。

魔法少女を捕まえて、自分も魔法少女にしてもらうのだ。

そうすれば、ただの人間から魔法少女になれる。

年齢的には少々ギリギリだが、問題ない。

「ふふふふふ! これでお兄ちゃんも私に少しは興味を――」

全力疾走していたひなたは、見つけた。

奇しくも、夏樹たちがたまに出没する近所の公園だった。

「――魔法少女見つけ……た?」

そこには「それらしき人物」はいた。

いたのだが、ひなたは魔法少女かどうか判断できなかった。

なぜなら、

「――っ、なんでこんなところに一般人が!? 早く逃げて!」

魔法少女と思われる可愛らしい衣装を身につけ、ステッキを持つ彼女は――どうみても三十路だった。