軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

27「ある意味ネットもファンタジーじゃね?」①

「ラッパーですか……懐かしいですね。僕もかつてはラップバトルをしたものです」

「おどれはどれだけ濃い五年を生きておったんじゃ!? 絶対に、中の人おるじゃろう!?」

「……中の人ってなあに?」

「急に年相応の顔をしよって! ええい、おどれのことは今はいい! その河童だかラッパーだかようわからん存在をどうするというんじゃ!」

小梅の言葉は間違っていない。

夏樹は河童大神様から「河童をよろしく頼む」と言われている。

河童大神の御使として、河童の守護聖人として、ギャラクシー河童勇者として、河童たちを救う義務がある。

「うーん」

悩む。悩む。悩む。

助けることは前提として、どうすればいいのか。

「はい!」

「はい、そこの王道勇者ぁ!」

一登が手を挙げ、夏樹が指差した。

「なにその言い方……まあいいや。河童さんたちのことはゴッドにお願いして僕たちの帰還と一緒に連れて帰って貰えばいいんじゃないかな? あ、もちろん、河童さんたちが帰りたいが前提だと思うけど」

「ナイスアイデア! そうだよね! ――あっぶね、河童さんの楽園をこの地に作ろうと考えてたわ」

「なんか想像していたよりもすごいこと考えてたね! 極端だよ! 普通に一緒に帰ろうでいいじゃん! なんで河童さんの楽園をこの地に作ろうとするの!?」

「――愛ゆえに」

「その愛が物騒だよ! あと、ドヤ顔やめて!」

夏樹にツッコミを入れる一登が息を切らす。

「ナイスツッコミ! ふーっ!」

河童を前に絶好調の夏樹は気にもしていない。

「それで河童さん! 日本に帰りたいかい!?」

「帰れるのなら帰りたいかっぱー。やっぱり故郷の水が恋しいかっぱー」

「わかった。ちょっと待っててね」

「わかったかっぱー」

夏樹はスマホを取り出すと、耳に当てる。

「あ、もしもし。はい。みんなのギャラクシー河童勇者のなっちゃんです。いやー、異世界はやっぱりクソですわー。滅ぼしていいっすか? あ、だめ? しょぼーん。ちょっとだけなら……先っぽだけでも……ぶーっ、もういいですぅ! じゃなくて! 日本から河童さんがこっちの世界に流されちゃったみたいなんですけど、助けてあげることってできません?」

誰かと会話をはじめた夏樹は、一度耳からスマホを離す。

「ちょっと待ってだって」

「……おい、待てや」

千手がなにか言いかけるが、夏樹は再び会話を始めた。

「あー、はいはい。了解です。なんかすみません。これも河童大神様のお導きですね。え? そんな神様はいない? やだなぁ、そういうジョーク……俺、嫌いですよ? ……なーんて、ジョークジョーク、勇者ジョーク! それで、原因は? え? マジっすか……なんてこった……俄然やる気が湧いてきましたよ。俺は今からなまら悲しみのギャラクシー河童勇者になります! んじゃ、また!」

スマホをしまった夏樹は、みんなに笑顔を向けた。

「ゴッドが俺たちが帰る時に一緒に連れて帰ってくれるって!」

「いや待て待て待て待て! なんで異世界にいるのにスマホつながってんだよ! 電波どうなってんだ!」

千手が夏樹の襟首を掴んで揺さぶる。

続きて小梅、銀子、一登、澪、都、祐介が手を繋いで輪になると夏樹を取り囲んでくるくる回り始めた。

「俺様も動画みたい!」

「私もっす!」

「SNSさせてよ、夏樹くん!」

「同感!」

「というか、なぜ自分だけ!?」

「モンスター系漫画読みたい!」

東雲たちは、ネットがなくても平然としているが、小梅たちはそうはいかなかった。

特に一登たち十代にとってネットはなくてはならないのだ。

それを夏樹が独り占めしていたとなれば、裁判沙汰だ。

「ちょ、待って! 違うよ! ネットないから! ゴッドに電話だけが繋がる設定になっているだけだから!」

「そんなことできるんじゃったら、ゴッドパワーで俺様たちのスマホが普通に使えるようにできないんかい!」

「そ、それはわかりません」

「ええいっ、スマホを渡すんじゃ! 俺様が直接話をつけてやるんじゃ!」

小梅は夏樹からスマホを奪うと、ゴッドに電話をかけた。

――そして、見事、スマホを普通に使えるようにしてもらうことに成功した。

小梅がみんなに胴上げされたのは言うまでもない。