作品タイトル不明
13「思春期の男の子は興味津々じゃね?」
夏樹の右手に小梅が座り、左手に銀子が座った。
制服姿のふたりが足を組むと、素敵な御御足がチラ見して夏樹がときめく。
「くっ、小梅ちゃんの長くすらっとした美脚と銀子さんの健康的な美脚が俺をときめき殺そうとしている!」
「どやぁ、なのじゃ!」
「どやぁ、っす!」
「……いや、意味がわからん。足を見せてどうするのだ? というか、由良夏樹がもじもじしながらふたりの足をちらちら見ているのは、なにかの儀式だろうか?」
見せつけられる脚に、つい夏樹の視線がいってしまう。
意味がわからずとも、ギーゼラも女性だ。男の視線には鋭いようだ。
「これだから異世界の魔王は! 夏樹はのう! 年上のお姉さんの脚が好きなんじゃよ!」
「やめて! 急に大きな声で暴露しないで!」
「恥ずかしがることはないっすよ。今更じゃないっすか!」
「そりゃ、日本ならね! 異世界で周知の事実にしないで! 思春期の男の子にはダメージが強いよ!」
「でも、好きなんじゃろう?」
「――大好きですっ!」
「素直でいい子っすねぇ」
「ああっ、僕の素直さん!」
異世界でその名を轟かせていた勇者夏樹の趣味嗜好が敵対していた魔王にバレてしまうのは気恥ずかしさがある。
「別にいいじゃない。あんたが出会う人の足をまず見ているのは誰だって知っているんだから」
「ちょ、聖剣さん!?」
聖剣さんも足を見せつけるように、夏樹に肩車された状態となっている。
「ええんじゃぞ。脚が好きでも、尻が好きでも、小さな胸が好きで大きな胸が好きでも。好みはそれぞれじゃ!」
「そうっすよ! 祐介くんみたいに魔族大好きだーって叫ぶ感じで、美脚が大好きだーって叫べばいいんすよ!」
「叫べないよ!? え? 俺って祐介くんみたいに思われてるの!? さすがにそれは心外です!」
夏樹はショックを受けた。
まさか魔族大好きっ子の大地の勇者と同じ扱いを受けているとは想像もしていなかったのだ。
「ふむ。勇者由良夏樹は脚が好き、と」
「おーっと、魔王さんの心のメモ帳に俺の情報が足されちゃったぞぉ!」
「ふーん。夏樹って美脚勇者だったんだ」
「ラーラさん!? それだと俺が美脚みたいに……いや、そうじゃなくて!」
「勇者殿――私は尻派です」
「オズワルドさん!? 急に他派閥を主張されてもなっちゃん困るんですけど! え? なになに? 意味わかんない! あとね、女性陣の視線が冷たくなっちゃったからね! オズワルドさんのダンディな老紳士なイメージが、今、この瞬間壊れちゃったからね!」
夏樹は息が切れるまで突っ込み続けた。
ぜーはー、と肩で息をすると、とりあえずオズワルドと握手をする。
お尻だって大好きだ。
女性たちの視線がさらに鋭くなった気がするが、勇者は時として己の信念を貫かなければならぬときがある。
「……ていうか、ときめき警察のせいで話がそれ過ぎ。ブレイバーズ王国に話を戻しなさいよ」
聖剣さんの呆れた声に、夏樹だけではなく、魔王たちも「はっ」と思いっきり脱線していることに気づいた。