作品タイトル不明
88「俺はツッコミ担当じゃなくね?」②
「落ち着け、由良! モスマンだったらやべえぞ!」
「魔族大好きな僕ですが、UMAも大好きです! だって男の子だもん!」
「駄目だ! 千手さんと祐介くんがバグったままだぁ!」
異世界ならUMAがいてもおかしくないのかもしれないが、明らかに神力と魔力だ。
とくに「もすもす」主張している女性から魔力を感じるので、UMAではないと思われる。UMAが魔力を持っていないとは限らないが。
万が一だが、神が目撃されてUMA扱いされた可能性がないわけではないだろうが、異世界にいるのはいろいろおかしい。
「そうだ、一登! 向島市一の常識人の一登きゅんなら!」
「……モスマン……うわ、俺、モスマン初めて見た!」
「純粋に感動しているぅうううううううううううううううううう!」
夏樹は、思い出した。
昨年の夏休みに一登がほとんど由良家にいたのだが、そのときにUMA特集の動画を見たのだ。
しかも、ノリに任せてツチノコを探しに生き、アオダイショウと遭遇して大パニックになったというおまけ付き。
「くっ、男の子はUMAが大好き! で、でも、征四郎さんと義政さんなら!」
一縷の希望を抱き、神奈征四郎と神奈義政を見る。
「うわぁ、モスマンさんだー! 子供の頃、テレビで特集見て怖くてトイレ行けなくなったんだったな。ふっ。懐かしい」
「あ、駄目だ。征四郎さんも男の子だった!」
「頼みの綱は義政さん!」
「……モスマンですか。懐かしいですね。まだ僕がぴちぴちのボーイだった頃、逃したことがあります」
「あるぇ? 義政さんって今もぴちぴちなボーイじゃなぁい? なんで、そんな匂わせ的なこと言うのぉ? 冗談だよねぇ?」
「もちろん、冗談ですよ。園児ジョーク! 園児ジョーク!」
「嘘か本当かわかんねぇええええええええええええええええ!」
(どいつもこいつも! 河童さんにはどきどきもわくわくもしないのに、モスマンさんばっか!――っ、これが寝取られ!?)
残念ながら、夏樹に突っ込んでくれる小梅や銀子はこの場にいない。
「由良夏樹殿、みんなはどうしたのだ? なにかの精神攻撃でも受けているのか?」
「常識ある人いたー!」
モスマンパニックに陥った夏樹たちだったが、グランドルと息子のゴールンとガイオンは、モスマンもUMAもわからないこともあって、呆然としているだけだった。
さすがに見かねて声をかけてくれたようだが、少し遅かった。
「もすもすもすもすもすもすもすもすもすもすもすもすもす」
「こしこしこしこしこしこしこしこしこしこしこしこしこし」
謎の男女が地面に降り立った。
千手、祐介、東雲、征四郎、義政が拍手する。
「もすもすもすもすもすもすもすもすもすもすもすもすもす」
「こしこしこしこしこしこしこしこしこしこしこしこしこし」
男女は、まるで示し合わせていたように、ポーズを決める。
心なしか、拍手が嬉しそうだ。
「……絶対モスマンじゃなくね!?」
改めて、男女をしっかり見た夏樹は、少なくともモスマンじゃないことを確信するのだった。