作品タイトル不明
81「正義のために戦うんじゃね?」②
「どこまでもふざけた奴だ! だが、勇者由良夏樹はどうでもいい! 僕の目的は、貴様だ――佐渡祐介!」
レオニーは、血走った目で祐介を睨んだ。
「僕?」
「なにしたのよ、祐介くん」
「……佐渡、ほら、とりあえず謝っておけよ」
「敵とはいえ、とりあえず悪いことをしたら謝罪はしたほうがいいかなって俺も思うよ」
名指しされた祐介を、夏樹が尋ね、千手と一登は謝罪を促した。
祐介がなにか「やらかした」ことは間違いないと考えているようだ。
「僕はなにもしていないからね!? むしろ、かつては純潔と尊厳を奪われて、今回だって死刑にされかけたんですけど!?」
「その後のことだ!」
レオニーの怒声に、祐介が首を傾げる。
「……まさか、覚えていないのか?」
「えっと、あの、言い訳するわけじゃないんですけど、その後、イベントたくさんだったので、どの話だか」
「我が婚約者アマリリス・ブレスコットを殺しただろう!」
「…………ああ! それかぁ!」
「先ほどから言っているではないか!」
レオニーが魔法を放つ。
黒く濁った炎だった。
だが、夏樹にとって脅威ではない。
聖剣さんを抜き、炎を斬り払った。
「ちっ、腐っても勇者か」
「腐ってるのは銀子さんであって、俺じゃないし!」
「意味のわからぬことを! 騎士よ! 魔法使いよ! もう十分に時間を稼いだ! 戦いの時間だ!」
「お前たちがどれだけ準備しても、俺たちには勝てねえから」
夏樹も、馬鹿ではない。
レオニーが会話を重ねることで時間稼ぎをしていることはわかっていた。
だが、まるで脅威に思わない。
雑魚がなにをしても雑魚でしかないのだ。
「由良夏樹よ」
「グランドルさん?」
オーガ族族長が夏樹の横に並んだ。
彼は固く拳を握りしめている。
「俺はレオニー・トットをよく知っている。魔族の最大の敵、ブレイバーズ王国の筆頭宮廷魔法使いだ。オーガが、他の種族が、こいつらに殺されている」
「……奇遇ですね、僕もお前を知っているぞ。オーガ族族長グランドルだったな。モンスターの分際で族長とは、まるで人間の真似をしているようで見苦しい。だが、感謝しろ。魔族に属する種族の族長の首は、高得点だ。その亡骸を好事家が欲しがっているので、剥製にして飾ってやろう」
「どこまでも魔族を馬鹿にしおって! もう口上もいいだろう!」
「そうだな。もう貴様たちのような汚物と会話をするつもりはない。モンスターが人の真似をする姿を見ているだけで吐き気がする。言葉を話せるからと、手心を加えてもらえると思うなよ?」
どこまでも魔族を馬鹿にするレオニーの言葉に、グランドルの額に血管が浮き出る。
(よくもまあ、ここまで魔族を嫌悪できるなぁ。お前たちなんてモンスター以下だろうに)
「――やれ!」
レオニーが腕を上げる。
次の瞬間、灼熱の炎が彼の背後から放たれた。
上空を赤く染めた炎が、雨のように降ってくる。
さらに、大声をあげて、騎士が剣を構えて突っ込んできた。
「よーし! みんな! 待て、の時間は終わりだ! 全員ぶっ殺すぞ!」