軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

67「運命の出会いってマジであるんじゃね?」①

――夏樹たちが祐介を囲んでわいわいやっている頃、魔王の母であり、ダークエルフでもある、ソーニャ・シラーに連れられて、宝物庫の中を案内されていた。

武器選びをするのは、三原一登、水無月澪、水無月都だ。

神奈征四郎と神奈義政は、自前の武器があるので、武器選びを遠慮しているが、異世界の宝物庫に興味があるので、見て回っていた。

一登は、水無月姉妹とソーニャと共に、自らの求める武器を探していた。

異世界に来る前に、神と魔族のビッグネームたちに戦いを叩き込まれた一登は、それなりに強くなった。

素盞嗚尊が教えてくれたのは、戦いの心構えだ。

自分が傷つく以上に、相手を傷つける覚悟。そして、自分の行動によって、仲間が傷つかないようにする判断力だ。

一登はお人好しだ。

兄同然に慕う由良夏樹もお人好しではあるが、彼は身内と身内以外を線引きしている。元来、お人好しゆえに、線引きした線を超えて見ず知らずの人に手を差し伸べることはあるが、一登はよりお人好しだ。

その証拠に、幼馴染みの綾川杏のことを未だ見捨てられずにいる。

彼女が異世界に来る前から、目を覚まさせようと、尽くしていた。

しかし、すべてが無駄だった。

それでも、初恋相手ゆえか、同級生ゆえか、放っておけなかったのだ。

無論、夏樹たちに比べたら、一登の中での杏の存在は低い。

それでも、見捨ててしまうのは、違っているように思えていた。

一登は異世界で杏を取り戻そうとしているわけではない。

彼女の目を覚まさせて、自らの足で地球に帰らせようとしている。

そして、自分の中でも、本当の意味で決着をつけようとしていた。

個人の目的は、他にもある。

異世界に赴く、夏樹たちと共に戦うことだ。

夏樹がいれば、自分など必要ないということはわかっている。それでも、家族が大変なときに、自分だけ安全な場所にいることなどできない。

――ゆえに力を欲した。

神々に戦いを教わっても、素質があると褒められても、一登は少し強くなっただけ。

征四郎や七森千手はもちろん、自らを鍛えたことがない小林蓮よりも、弱い。

夏樹から、自分に勇者の力があると聞いていたが、その力もついに目覚めることはなかった。

「……あまり思い詰めんなよ」

「ソーニャさん?」

必死に武器を探す一登に、ソーニャが声をかけた。

振り返ると、彼女は心配そうな顔をしていた。

「私は、長く生きているから、お前みたいな奴は何人も見てきた。娘も、魔王になる前は、お前みたいに強くなりたい、って口癖だったんだ。お前は、口には出さないが、雰囲気でわかる」

「……はい」

「規格外な勇者がいるから、感覚が麻痺しているのかもしれないけどさ、友達のために世界を移動できるってだけでかっこいいじゃん」

ソーニャは、一登の背中を軽く叩く。

「戦って勝つだけが強さじゃないんだぜ?」

「わかっています。だけど、それでも……僕は強くなりたいんです」

「……若い子がかかる麻疹みたいなもんなんだろうけどさ、気持ちはわからないでもない。よし、じゃあ、お姉さんが魔王でもビビって触れなかったやべえ武器を持ってき――」

「――強くなりたいのなら、わたくしを選びなさい」

聞き覚えのない少女の声がした。

「うげっ」

なにか心当たりがあるのか、ソーニャが心底嫌そうな顔をする。

「話は聞いていましたわ。このわたくしを、手に取れば、あなたの力になると約束しましょう! さあ、わたくしのもとに!」

少女の声が呼ぶのは自分なのだと一登は理解した。

誘われるまま、声の主を探そうとする。

「待て! あれ、はやべえ。まじでやべえからやめておけ! 下手すりゃ、死ぬぞ!?」

ソーニャの制止の声は本気だった。

本気で、一登の身を案じていた。

「ごめんなさい、ソーニャさん。危険があっても、僕は力がほしいんです」