軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25「第一印象って大事なんじゃね?」①

夏樹、祐介、千手は魔王と共に魔王城の会議室にいた。

会議室には先客がいて、夏樹たちを出迎えてくれた。

「ほほほ、これはこれは異世界からのお客人たち……そして、勇者由良夏樹様、ようこそおいでくださいました」

緊張しながら笑顔を浮かべるのは、一見すると人のような老人だった。

長い白髪をひとつにまとめ、タイを結んだ老紳士だ。

「紹介しよう。私の信頼する側近、オズワルドだ」

「ご紹介に預かりました、オズワルドと申します。混血の魔族、魔人族の年寄りでございます」

温和そうな老人――オズワルドは、深々と夏樹たちにお辞儀をする。

「じいや――ごほん。いや、オズワルドは先先代魔王の時代の四天王のひとりだ。現役を退いてからは、私の相談役であり、ラーラの教育係として支えてくれている」

「もう役立たずの老耄でございますが、魔王様とラーラ様のお手伝いができればと思っております」

「きっと勇者は気づいていないだろうが、私と戦う前にオズワルドと戦っている」

「…………記憶にございません」

「……夏樹くん、そんな悪い政治家みたいに」

「記憶にっ、ございませんっ!」

「由良と戦って記憶に残っているやつが、この異世界にいるのかどうか疑問だな」

夏樹は戦ったらしいオズワルドのことをまるで覚えていなかった。

千手が言うように、夏樹が戦って覚えている魔族は数える程度しかいない。

それも強かったとかなどではなく、記憶に残る会話をしたとか、武器を奪ったとかそのくらいだ。

「ほほほ、由良夏樹様に蹴り飛ばされて意識を失っておりました。目覚めたときには戦いが全て終わっており、由良夏樹様のお姿はなく……こうしてまたお会いできることを光栄に思います。そして、魔王様を正気に戻してくれたことに、心からの感謝をお伝えしたく思います」

「あー、いえいえ。結果的にそうなっただけなんで」

「それでも、どうもありがとうございました」

深々と頭を下げるオズワルドに、夏樹は少し困ったように「どういたしまして」とだけ告げた。

「オズワルド、そのくらいで」

「おっと、申し訳ございません。歳をとると話が長くなってしまいますね。今、お茶を用意しますので」

「いいえ、大丈夫です。オズワルドさん、お茶は持参していますから、お気遣いなく!」

夏樹はアイテムボックスから、ペットボトルのお茶を人数分取り出した。

「……勇者よ、この黄色い飲み物はなんだ?」

「え? 黄色? 俺には緑に見えるんだけど、まあいいか。お茶だよお茶!」

「ほう……これがお茶か」

「珍しい色でございますね。……私もいただいてよろしいのですか?」

「どうぞどうぞ」

この世界のものを飲み食いするつもりがない夏樹は、ペットボトルを開けて口をつける。

魔王とオズワルドも、出されたお茶を夏樹の真似をして開けて、口をつける。

「ほう、これはうまい」

「すっきりした味わいでございますね。異世界のお茶をいただけるとは、長く生きるものです。それに、この容器も蓋を閉めると液体がこぼれないのですか。異世界の技術は素晴らしい」

夏樹はドヤ顔をしながら、お茶を飲んでいるが、決して夏樹がお茶を淹れたわけではないし、ペットボトルの技術を開発したわけではない。

「異世界の飲み物をご馳走になった。さて、そろそろエルフが来るはずだ。準備はいいだろうか?」

魔王が仕切り直す。

「大丈夫でーす!」

「もしかしたら未来の花嫁かもしれないので、僕はもうドキドキが止まりません!」

「……最悪、ぶん殴っても止めるからな」

夏樹がマイペースに、祐介はエルフとの妄想に翼を広げ、千手は頭痛を覚えて額を抑えた。

「本当に準備はいいんだな!?」

困惑気味に念押しする魔王は、まだ夏樹たちのペースについていけないようだった。

そうこうしている内に、

「――エルフ族長フェイリスです。魔王様と勇者にご挨拶に参りました」

廊下から凛とした女性の声が響いた。

魔王が頷くと、オズワルドが「入っていただきなさい」と告げる。

部屋の前に立つメイドが、扉を開けた。

すると、美しい金髪を伸ばし、尖った耳を持つエルフが現れた。

「あー、エルフさんだ! こーんーにーちーはー!」

「うわー、金髪の正統派エルフさんだぁあああああああああああああああああああ!」

「……さすがにエルフを見ると、俺も感動を覚えるぜ」

夏樹と祐介がテンション高めに挨拶し、千手もさすがのエルフを見たのが初めて故に目を見開いている。

そんな三人の視線を受けたエルフは、そっと扉を閉めて戻っていく。

「なんで!?」

想像していなかった展開に、夏樹は困惑の声を出した。