軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

18「ついに合流だけどなんか怖くね?」①

夏樹は上着を脱いで頭にタオルを巻くと、網の上で肉を焼いていた。

異世界の季節は春が終わるくらいのようで、暖かい。

熱々の炭を前にすると、さすがに汗が出る。

「お疲れ、なっちゃん」

「あ、円ちゃん」

「ボクも手伝うんよ」

「ありがとー」

円が肉が乗ったトレイを持って夏樹の隣に立つ。

串に鶏肉とネギを交互に刺し、網の上に乗せる。

夏樹は塩を摘むと、肘に当たりそうなポーズで肉にまぶしていく。

「……なっちゃん」

「ん?」

「異世界なんて創作の世界やと思っとったんやけど、実際にあるんやねぇ」

「俺的には無かったほうがよかったけどね」

「熊がおったら喜んだやろうねぇ」

「熊崎くんだっけ?」

「せや。熊は異世界もの好きなんやよ。何冊か勧められて読んだことあるんやけど……なっちゃんみたいな物語はなかったなぁ」

「できることなら俺も物語みたいな夢と希望の冒険がしたかったよぉ」

夏樹が異世界の空を仰ぐと、円は苦い笑みを浮かべる。

「この世界が平和になってまえば、なっちゃんもみんなで冒険してみればええんやない?」

「……その発想はなかったなぁ」

円に言われ、夏樹は動きが止まった。

思えば、この世界から地球に帰ることだけを考えていたので、異世界を冒険するという発想がなかった。

異世界人があまりにも酷かったので、この世界に興味を持てなかったということもある。

祐介ではないが、せめて魔族側に召喚されていたら違ったのかもしれない。

「人間がいなくなった綺麗な世界になったら、みんなで観光するのもありかもねー」

「……ボクはこの世界の人間と顔合わせるんが怖くなってきたんよ」

どれほどのことをすれば、夏樹にここまで嫌悪されるのかわからない円は、異世界人に対してある種の恐怖を抱いているようだった。

「よし。追加の焼き鳥が焼けたから、あの絶好調な大人たちに持っていこう」

「せやね」

焼きたての鶏肉をお皿に盛り付けた夏樹が軍手で汗を拭ったときだった。

「魔族さんたちこーんにーちはー! 遠い世界から異世界のクソ王女に勇者召喚されてあと少しで死刑になりかけていた佐渡祐介くんでーす! ふぅううううううううううううううううううううううううううう!」

「ガネたんもいるぜい!」

「……こいつらまじでテンション高えなぁ。一緒にいて疲れた」

無駄にテンションの高い佐渡祐介が象さんに乗って、メイドさんを連れて現れたのだ。

「ここを僕のハーレムとする!」

「ぱおーん!」

「だからテンション高えって」

「お前も魔族っ子にしてやろうか!」

「ぱぉおおおおおおおおおおおん!」

「……意味わかんねえから!」

夏樹と円は「うわぁ」と変な声が出てしまった。

いずれ合流するだろうと思っていたが、こんなに早く祐介たちがくるとは思っていなかったのだ。

「や、やあ、祐介くん」

「あー! なーつーきーくーんーだー! たしゅけてくれてありがとうねぇ!」

「あ、はい。どういたしまして」

「まじであのクソ王女許さねえ! お前に鞭で叩かれてもなにも感じねえから!」

「……俺よりも情緒不安定な人見るとなんか安心するわー」

「安心したらあかんやつやろ、あの人」

目を血走らせてガネーシャの背中で叫び続ける祐介に、夏樹と円はちょっと引いた。