作品タイトル不明
68「祐介くんマジでやばくね?」①
「しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく」
「うっぜぇなぁ」
服はおろか、パンツまで剥ぎ取られてしまった祐介は枕に突っ伏して、尻を出したまま泣いていた。
褐色の肌と銀髪を持つ小柄なメイドは、舌打ちすると、文句を言う。
先ほどまでは、寡黙なメイドだったが、一度本性を出すと態度が悪い。
「しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく」
「だぁあああああああああああ! 鬱陶しんだよ!」
メイドはベッドに向かい、祐介のお尻を思い切り引っ叩いた。
「――はうんっ!?」
祐介の白いお尻に真っ赤な紅葉が浮かぶ。
(……痛いのに……感じちゃう、だと!? おかしい、僕はただのヒューマンに興味がないはずだというのに、この胸の高鳴りは――っ、まさか彼女は人間ではないというのか!? そ、そんなことないか、仮にも王宮に勤めているメイドが人外っ子とか大問題でしょう。この国は魔族と戦っているんだし)
「ま、あの淫乱女に目をつけられたのは同情するけどな」
「え?」
「あー、あんたは異世界人だから知らないのか。淫乱姫ベアトリス・ブレスコットは、自らを聖女なんて言っているが、私にしてみりゃ性女だな」
「イントネーションでどういう意味かはわかります。とってもわかりたくないけど」
どうやらメイドはこの国の王女を好きではないようだ。
「あの女は、先代勇者にアプローチしまくって振られたせいでプライド傷つけられまくっているからな。あんたで鬱憤を晴らそうとしているんだ」
「……馬鹿な! 僕が可哀想すぎる!」
「あの性女様は、以前から父親と変わらないおっさんの騎士団長と肉体関係があるし、気に入った好みの男に手を出してばかりいるからな。さぞ可愛がってもらえるんだろうぜ」
「嫌すぎる! 僕がなにをしたって言うんだ! せっかく異世界に来たのなら、魔族サイドでダークエルフさんとか獣人さんとかと戯れたいのが浪漫なのに!」
「…………あんた」
メイドが信じられないものを見るような目で祐介を見ていた。
「……あまりそういうことをこの国つーか、人間社会で言わない方がいいぜ。いくら勇者様でも……死刑になる可能性だってあるんだからな」
「一方的に呼びつけておいて、気に入らなきゃ死刑とか……滅びよ!」
「ま、私もそう思うけどね。ところで……あんたさ」
「はい?」
祐介にメイドが何かを言おうとした時だった。
廊下に靴跡が響いた。
普通の聴覚では聞こえないが、魔力を使って聴覚を強化している祐介と、事情はわからないがメイドにははっきりと聞こえた。
メイドは佇まいを整えると、祐介に助言する。
「おい、あんた。くれぐれも無礼な態度を取るなよ? 不敬罪とかいうふざけた理由で何人も死刑にするような女なんだからな」
「ひえっ」
全裸のまま祐介は情けない声を出す。
こんこん、と扉がノックされた。
「――ま」
待って、と言うよりも早くメイドが扉を開けてしまう。
すぐに白を基調にしたナイトドレスを身につけた王女ベアトリス・ブレスコットが初々しい仕草をしながら、緊張した「ふり」をして部屋の中に入ってくる。
「……勇者様に純潔をお捧げしたく……恥知らずと思わないでくださいませ。わたくしのすべてを差し出し、勇者様にまずは信頼していただきたいと思っているのです」
頬を染めてそんなことを言うベアトリスに、
(嘘おっしゃい!)
口には絶対しなかったが祐介は心の中で叫んだ。