作品タイトル不明
間話「天照大神様とゴッドが話をするんじゃね?」
天照大神は修行中の一登たちから離れて、空間を歪めた。
刹那、純白の衣を纏い、羽衣をかけた神としての天照大神を取り戻した。
「――ゴッド殿」
「――天照大神殿」
何もない空間で天照大神と向かい合うのは、後光に包まれる存在、ゴッドだった。
「由良夏樹、三原一登、七森千手、神奈征四郎、佐渡祐介……彼らを無闇に巻き込むことをやめていただきたい」
天照大神の声は淡々としたものだった。
今までの暖かくも、気安い雰囲気が消えている。
「私の意図したことではありませんが、貴方の管理する地域の少年たちに迷惑をかけていることを心苦しく思います」
「ならば」
「しかし、彼らの運命は彼らが切り開くものです。貴方同様に、私も神として関わることができません。できることは、信じましょう。彼らなら無事に良い未来を自らの手で手に入れるのだと」
天照大神は澄んだ声音で言葉を紡ぐ。
「例外はあれ、現代において神や魔は人と関わらない。霊能力者をはじめとする、一般人にはない力を持つ者たちであっても、私たちのような存在が本当に存在しているのかさえ知らない」
「神々はいつもそこにいるのです。我々は自然のひとつなのですから」
現代において、神や魔の存在は認知こそされていても、存在の真偽まで認識されていない。
古の時代には、自然のひとつひとつに神が宿っていた。
国によって、定義は変わるが、ずっとそこにいた。
人間の隣人であり、支え合う者として。
「……新たな神々は、新たな神話を築くと言っているようですが、その手段は?」
「我々のようなすでに存在する神や魔を倒すことを神話とするようです」
「愚かな」
「ですが、手段としてはわかりやすい」
「神にも魔にも現在を良しとしない者がいるのは承知しています」
「新たな神々に加わることで、自らの力を強くしたい者、神に取って代わりたい者、主神になりたいもの、欲望は際限ありません」
「神も魔も人と変わらないものです」
天照大神はゴッドに背を向けた。
「異世界に関して、私は納得していません」
「それは私も同じです」
「由良夏樹は強い。しかし、危うい」
「はい」
「強すぎる力は目立ち、誘蛾灯のように様々なものを呼び寄せてしまう」
「現時点でも、見ていて楽しいほど様々な存在が集まっていますね」
「日常としてならば微笑ましいが……」
「心配はわかります。だからこそ、お力をお貸ししているのでしょう?」
「それはゴッド殿も同じでは?」
天照大神は歩き出す。
そんな太陽神の背中にゴッドが声をかけた。
「――貴方は優しすぎます」
「それはゴッド殿も同じではないかと」
そう言い残し、天照大神は地上に戻ってきた。
彼女は何も言わず、「いつもの」自分に戻り、笑みを作る。
太陽はいつだって人々を見守り、照らす。
いつの時代でもその在り方は変わらない。