軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25「祐介くんの現状やばくね?」②

「……やばいってことはないはずです。ええ、そうですとも。なんていったって、祐介くんは大地の勇者ですからね。ええ、ええ、そうですとも」

ゴッドは動揺で声を振るわせながら、後光をちかちか光らせる。

震える手でおしぼりを掴むと、後光ではっきり見えないが、おそらく額や首を拭い始めた。

「あれ? でも祐介くんの本来の召喚って、まだなんじゃないの?」

「……はっきり言います、ゴッドのせいではありません」

「いや、そういうのは良いから、説明プリーズ」

「夏樹くんが魔神を倒したことで、異世界は管理者を失いました。これは問題ないんです。ゴッドが管理者になりましたので」

「うん」

「しかし、ゴッドが世界の管理者になる前に、異世界は滅びる寸前でした。夏樹くんパワーで魔族を押しましたが、結局夏樹くん頼りでしたからね。魔王も健在。結局、すぐに人間は敗北の連続となります。祐介くんを召喚しましたが、夏樹くんほどではなかったことで――確かに夏樹くんほどではないのですが、ゴッドが見ても祐介くんは異世界で無双できたでしょう。しかし、召喚者がそのことを理解できず、良いように使い殺してしまった。これじゃあもう駄目です」

「別に滅んでもいいけどね。つーか、ゴッドはもうこっちの世界から召喚させないようにしたんじゃないの?」

「ええ、二度と召喚はさせません。が、祐介くんは別です」

「なんで!?」

「一度、召喚されているので、時間を夏樹くんが異世界で魔神を倒したところからの介入となったことで、必ず一回は召喚されることが決まっていたようですね」

「うわぁ」

都が手を上げた。

「どうぞ、都さん」

「えっと、ゴッドさんが夏樹くんが地球に帰還した直後から異世界を管理といいましたが、ならばゴッドさんが管理する前に滅びまで進んだ世界はどうなったんですか?」

「なかったことにはなっていません。言うならば、並行世界となりました。世界は大きな分岐点を軸に無数に枝分かれしています。すべてに介入はできません。今回は、夏樹くんが魔神を倒したことが分岐点になったようです。ゴッド的には、異世界が滅ばない世界線を守りたいのです」

「……全てを救えないんですね」

「ゴッドでもできないことはあるのです。あまり中学生の多感な時期に聞かせる内容ではありませんでしたね。申し訳ありません」

「いいえ、ちゃんと言ってくださってありがとうございます」

滅びる世界線はあるということに、都は暗い顔をする。だが、夏樹はそんな都の肩を叩いて、笑顔を浮かべていた。

「あのクソみたいな世界が滅ぶとか最高じゃん! いえーい、かんぱーい!」

「うわぁ」

「うわぁ」

満面の笑みで、アイスティーの入ったグラスを掲げる夏樹に、一登と都がドン引きする。

「何その反応!? 異世界の魔族はよく知らないけど、人間はクズだったよ! だって、普通の感性があったら無関係な人を誘拐のように召喚して戦えとか言わないから! 百歩譲って聖剣さんに選ばれたのが俺だから呼びましたって言っても、もっと頼む側の態度があるでしょうが。それなのに、勇者だから人間に尽くして当然って……俺がお前らを滅ぼしたろうか! って、感じでした」

「あー、それは、なんというか」

「同じことされたらキレますね」

「でしょう?」

納得してもらえたようで、夏樹は満足だ。

ゴッドは咳払いし、話を軌道修正にかかった。

「異世界人や魔族を滅ぼしてもゴッドは気にしません。あくまでも、世界が滅びなければ良いのですから。さて、祐介くんのことの前に、言っておくことがあります」

「あ、なんかまだイベントが待っている予感がする」

「召喚されたのは祐介くんだけですが、異世界にはこちらの世界から訪れた勇者と神そして魔族がいます」

「はい?」

「絶望の神ことぜっくんが祐介くんの召喚に介入し、新たな神々に与した神や魔、そして彼らが選んだ勇者を引き連れて異世界支配に向かいました」

「うわぁ。あの世界は支配する価値ないよぉ!」

「ぜっくんの目論見は不明ですが、おそらく……一から神話を作ってみたいのかもしれませんね」

「めんどー」

愛の女神あいちゃんは話せるのに、絶望の神ぜっくんは面倒臭いタイプだ。

新たな神々がどれほど強いかわからないが、異世界にいるのならちょうど良い。

(――異世界ごとぐちゃぐちゃにしてやる)