作品タイトル不明
24「祐介くんの現状やばくね?」①
「あの、ゴッド様」
「都さん、フレンドリーにゴッドと呼んでください。愛を込めて! さあ!」
「いえ、そんなことよりも、佐渡祐介さんのことをお話していただけないでしょうか?」
「そんなことよりもって、都さん酷いです」
夏樹とわかり合っていたゴッドに、都が冷静な声を出す。
緊張していた都だったが、夏樹のゴッドとのやりとりを見たせいか、彼女の中で天照大神と同じ感じになったのかもしれない。
「そうだよ、ゴッド。祐介くんと連絡取れないし、ゴッドは意味深なことを言うし、気になって午後の授業は寝ちゃったよ!」
「余裕だね、夏樹くん」
真面目な顔をしてそんなことを言う夏樹に、一登は本気なのか冗談なのかわからないといった顔をしている。
「余裕なんてないさ! 祐介くんのことを考えたら……すみません、お茶のおかわりください!」
「もっと心配してあげてよ!」
あまり心配をしていない夏樹だが、それには理由があった。
「いやいや、一登さ。祐介くんは一般枠と思われているけど、一応は勇者だからね」
「そうだけど」
「真面目な話、祐介くんってかなり強いよ。性格が荒事に向いていないから、ちょっと弱めに見えるけど……大地の勇者だもん」
「えっと、大地の勇者って何か意味があるの?」
「あれ? 話したことなかったっけ?」
夏樹は首を傾げてから、記憶を掘り起こすように話し始めた。
「俺も、自称仙人のおじいちゃんから聞いたんだけど、今まで勇者っていうのは……たとえば炎の勇者とか、水の勇者とか、わかりやすくひとつの属性なんだよね」
「そういう物なんだ?」
「いや、知らんけど」
「……知らないんだ」
「又聞きだからね。えっと、とにかく歴代の勇者って属性ひとつなんだけど、俺の海の勇者とか祐介くんの大地の勇者って複数属性なんだよ」
「複数?」
「例えば、俺の海の勇者っていうのは、水と氷と闇だね」
「あー、そういう意味なんだね」
「そうそう。大地の勇者はおそらく、土、植物、あと多分炎かな。ってなわけで、普通の勇者の三倍ってわけじゃないんだけど、比べると力は強いらしい」
夏樹もよくわかっていない。
自分の力というわけではなく、今までの勇者より強いということがよくわからない。
特に、夏樹の場合は海の勇者の前に聖剣に選ばれた勇者である。
使える属性盛りだくさんだ。
「――あれ?」
「どうしたの、一登?」
「夏樹くんって闇の力って使ったことある?」
「んにゃ。ないよ」
「一応、聞いてくけどなぜかな?」
「制御できないからだよ。せっかく戻ってきた故郷であんな力使えねえって!」
「……うわぁ」
なぜか引いている一登であるが、夏樹としては現状の肉体では使うにはリスクが大きすぎるのだ。
茨木童子との戦いで海の勇者としての力を使った。
海を召喚し、自らが海水となる。海水という圧倒的質量で押しつぶす。
――これは海の勇者としての初級的な感じだ。
だが、そんな初級の力でも、聖剣さんのサポートなく使うことはできなかったのだ。
夏樹の伸び代は、まだまだこれからだ。
「とにかく、祐介くんに何かあったとしても、戦って負けるってことはあまり想像できないんだ。祐介くんがいくら闘いに向いていないからって、死ぬほど追い込まれたらその気になるでしょ。俺もそうだったし。ねえ、ゴッド?」
「あー、えー、そのー、うー」
祐介の現状を話してほしいと促すと、ゴッドは饒舌だったはずが、なぜか言葉に詰まっている。
「ゴッド?」
「……えー、あのですね、誠に遺憾ながら……祐介くんは異世界に召喚されてしまいました」
「…………」
「…………」
「…………」
夏樹、一登、都が沈黙した。
しばらくして、恐る恐る夏樹が声をしぼりだした。
「――祐介くんやばくね?」