作品タイトル不明
15「久しぶりの学園生活じゃね?」②
「はぁ……居心地の悪い時間だった」
「お疲れ様でした、夏樹くん」
「夏樹くん、お疲れ」
午前中の授業を終えて、昼休み。
屋上で、夏樹は都と一登と一緒にお弁当を食べていた。
「マジでレアキャラ扱いされて凹んだ。あと、みんなの名前も顔も忘れちゃった。というか、みんなの顔と名前を覚えていたことさえ、覚えてないんだけど!」
「それってどうなんでしょうね」
「異世界の影響?」
「単に夏樹くんがクラスメイトに興味がないだけでは?」
「そっちだね」
「ふたりともひどい!」
サタンの作ってくれたお弁当を食べながら、夏樹は半泣きだ。
教室に入った途端「うわ、由良が来たやべ」と言われ、実はいつ登校するのかかけをされていたことにひどく傷ついてしまった。
休み時間も、みんな遠巻きに見ているだけで、話しかけてくれない。
「もう俺……学校に来るのがちゅらい!」
「まだ半日でしょう。夏樹くんが距離を置かれているのは、バスケットボール部を廃部にしたからです。他にも複数名停学にするきっかけを作りましたからね。悪いのは向こうですが、どう接して良いのかわからないんだと思います」
「バスケ部? …………ああ、本当にあいつらはしょうがねえ奴らだったよ! 簡単に童貞であることを放棄してさ! フェアリーが泣くよ!」
「……泣きませんから」
「うん。泣かないね。どんなフェアリーかな?」
「せめてユニコーンとかにしてくださいよ。微妙にわかりづらいです」
「うっす」
サタンの料理が美味しいことは知っていたが、まさか西洋で名を馳せる魔王が、のり弁を作ってくれるとは思わなかった。
お米の上に、おかかをまぶし、醤油を染み込ませた海苔を敷く。さらに、お米で蓋をして、海苔を敷くという二段にされたのり弁は、しょっぱすぎず、しかし授業で疲れた夏樹を癒してくれる。
甘めの卵焼き、ケチャップで甘めに炒めたウインナー。たくあんも添えてある。
皮を綺麗に剥いたオレンジも入っていて、ちょっと嬉しくなる。
水筒には暖かいお茶が入っていて、濃さもバッチリだ。
「別にいいけど。下手にクラスメイトと仲良くして、ファンタジーに巻き込んでも悪いし」
「確かにその可能性は大だね」
「こちらが巻き込むつもりがなくとも、敵対者が気遣ってくれるわけがありませんしね」
「そういうこと。別に、顔も名前も覚えてないからどうでもいいやなんて思ってねーから」
「…………」
「…………」
「そんな目で見ないで!」
呆れたような、残念そうな目で見られた夏樹は、誤魔化すようにお弁当をかき込んだ。
――そして、昼食を終えた夏樹たちは、何事もなく午後の授業を終え、放課後を迎えたのだった。