軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

14「久しぶりの学園生活じゃね?」①

「顔を上げてくれってば。なっちゃんの友達なら、俺のマブよマブ!」

象さんの頭部を持つガネーシャは、気さくな声を出して都と一登を立ち上がらせた。

「ガネーシャ様、私は……水無月都と申します。この地を守護する、水無月家の人間です。よろしくお願いします」

「僕は三原一登です。夏樹くんの幼馴染みです。よろしくお願いします!」

「都ちゃんと、かずちゃんだな! よーし、今日から俺たちはマブダチだぜい!」

丁寧に挨拶をしたふたりの肩を、ガネーシャは気安く叩く。

神様でありながら、フレンドリーであり、偉そうにする雰囲気など微塵もない。

ふたりはガネーシャに笑顔を見せ、緊張を解いた。

「いやー、インド神話にもなっちゃんの話が轟いていてなぁ。好奇心旺盛な俺っちとしては、誰よりも早く会いに来たかったんだよ!」

「……やばくね? インド神話に俺の名前が伝わってるって、マジなんだ? やばくね? インド神話に目をつけられたら、マジでやばくね?」

夏樹は、自分の名が広がっていることに怯え出す。

一体誰が自分の名前を広めているのか、と悩むと同時に、絶対に見つけてぶっ殺してやると決意した。

「えっと、じゃあ、ガネーシャ様は」

「ガネたんでいいって、かずちゃん!」

「ガネたんは、遊びに来ただけ?」

「おうよ! 俺っちは戦い関連に興味はないってば。なっちゃんと喧嘩したがってる奴らもいたけど、些細な問題だな!」

「待って、その神様のお名前教えて!」

「……聞かない方がいいと思うぜぃ。聞いたらきっと絶望すると思う」

「絶対、ビッグネーム! ふぅぅううううううううううううううう!」

異世界から帰還して三週間も経っていないのに、またしても命の危機が訪れる予感がした。

「ガネーシャ様……あ、いえ、ガネたん様、遊びにこられたのは良いのですが、さすがに学校の屋上でパオーンされていても困ります」

恐る恐るといった様子で、都がガネーシャに訴える。

彼は、そんな都に申し訳なさそうに謝罪する。

「すまんすまん、学校に来てみたくて来っちゃった。俺っちは飼育小屋とかでいいから、気にしなくていいぜ!」

「いえ、飼育小屋はありません」

「……そっか。最近の中学校って飼育小屋ないんだ」

「飼育小屋は小学校では? そうではなく! 私たちも授業がありますし、神様を屋上に放置するわけもいきません」

「でも俺っち、いく当てもねーし、ひとりじゃ寂しいじゃん」

「……わかりました。では、しばしお待ちください」

そう言うと、都はスマホでどこかに電話する。

「もしもし。はい、都です。実は、インド神話からガネーシャ様が遊びに来られて、今……中学校の屋上に来ているんですが、ええ、はいはい。そうですね。わかっていたのなら早く対処してほしかったんですが。いえ、別に責めてはいません。これはひとりごとですが、現在、夏樹くんと一登くんと一緒でして」

夏樹は、都の通話先が誰だか察した。

次の瞬間、夏樹たちの近くの空間が歪み、天照が顔を出した。

「おはようございまーす!」

「あ、照子ちゃん!」

「か、一登きゅんと朝のご挨拶できて幸せです。でゅふふふ」

「――天照大神様?」

「ぴえっ、すんません。さあ、ガネーシャ殿! 自分がお世話になっている水無月家にご招待しますよ! 温泉とサウナとジムがあるので、ぜひぜひ」

「……日本の温泉! 一般のご家庭にあるのか!? 正直、興味津々だぜ!」

「ぜひぜひ! 夏樹くん、ガネーシャ殿はこの太陽神天照大神がきちんと、太陽神であるこの天照大神がおもてなしさせていただきますとも!」

「ちらっちら一登見ながら、そんなに太陽神であること主張せんでも」

どうやら天照大神は一登にいいところを見せたようだ。

ガネーシャを誘う様子は決して太陽神っぽくないが、本人がそれでいいならいいとしよう。

「照子ちゃん、ありがとう!」

「いえいえ! 一登きゅんのためならインド神話のひとりやふたり!」

「追加できたら困るから余計なこと言わないで!」

「おっと、失礼。あとで、顔をだしてくださいね! んじゃ!」

一登と会えたことで満足したのだろう。

満面の笑みで天照大神が引っ込む。

残った空間の歪みがゲートになっているようだ。

「なっちゃん、せっかく会えたのに……俺っちはちょっと温泉満喫してくるから、ちゃんと授業受けるんだぜ! 都ちゃんとかずちゃんも、勉強は大事だから! んじゃ、あとで!」

そう言い残してゲートの中に入っていってしまった。

「……お母様と雲海様たちが苦労するでしょうが、丸投げしておきましょう」

「都さんしゅごい! 天照大神様まで顎で使えるなんて、さすが! さす都さん! さすみや!」

「さすみや! さすみや!」

「ふふん! それほどでも――あります!」

夏樹と一登は「さすみや」コールで都を褒めちぎる。

しばらくコールが続くと、チャイムがなった。

「あ」

「あ」

「やべ」

――もちろん、HRは遅刻した。