作品タイトル不明
7「さすがにこれはないんじゃない?」
佐渡祐介は、夢の中にいた。
「――あれ? さっきまで人外っ子ハーレムでうはうはだったのに!? なにここ、真っ白な空間で怖い!」
パジャマ姿の祐介は、怯えたようにあたりを見渡すが、視界いっぱい白一色の世界だった。
どくん、どくん、と心臓が跳ねる。
この展開には覚えがあった。
「こんばんは。夜分に失礼します」
「――ぴえっ!?」
急に背後から、友好的な声をかけられて心臓が爆発しそうになった。
胸を押さえて飛んで背後を振り返ると、そこには見知らぬ男性がいた。
しかし、知らないはずの男性にどこか懐かしさを覚えてしまった。
「え? どちら様ですか!? なんかロン毛に月桂樹の冠を乗せて……」
「ゴッドの息子のよっちゃんです」
「――イエ」
「よっちゃんです」
「あ、はい!」
祐介は男の正体を理解した。
通りで覚えがあるはずだ、と。
「楽しい夢を見ている最中、失礼しました。私はよっちゃん。青森で大工をしている、一般人です」
「いや、一般人って無理が」
「一般人です」
「あ、はい」
にこにこ微笑んでいるのに、有無を言わせない圧迫感があったので、祐介は反論しないことにした。
「えーっと、あの、イエ――じゃなくて、よっちゃんさんは、どうして僕の夢の中に?」
「実はですね」
「――っ、まさか、鬼、猫又、人魚さんたちとハーレムを築いて幸せになる未来を予言しに!?」
「――全然違います」
「……Jesus!」
祐介はショックを受けて、膝をついた。
「じゃあ、どうして? そもそも、なんで?」
「えー、まず、私は由良夏樹君と三原一登くんと友人です。銭湯で裸の付き合いをしたなかです」
「まーたー夏樹くんだぁあああああああああああああ! あと一登くんも大概だよねええええええええええええええええ!」
同じ異世界に連れ去られた共通点があるのに、どうして自分はこうも違うのかと嘆こうとして、やめた。
あそこまではちゃめちゃな神と魔族と命懸けの喧嘩はしたくないのだ。
「さて、本題ですが、本日は謝罪にまいりました」
「――ほえ?」
よっちゃんは祐介に向かい、丁寧に腰を折る。
なぜ謝罪をされなければならないのか理解ができずに変な声が出てしまう。
よっちゃんは、悲痛な顔をして祐介の肩を叩く。
彼の瞳に、哀れみが込められているのに気付き祐介はものすごく嫌な予感がした。
「待って、待って待ってまって!」
「君にこれから起きることに謝罪を。そして――祐介くん的には良いことがたぶんきっとめいびー待っているはずなので、気をしっかり持ってくださいね」
「ちょっと待って、これから僕になにがおきるの? ちょっと、まって、そんな悲痛な顔をして顔を逸らさないで! こっち見てよ!」
「本当に申し訳ありません。ただひとつ訂正するとしたら」
「したら?」
「これから起きるのではなく――もう起きているのです」
「ほえ?」
「あなたに主の祝福があらんことを。……戻ってきたらご飯にいきましょう。奢ります」
そう言い残しよっちゃんがゆっくり消えていく。
「ちょ、ま」
祐介が手を伸ばすも、よっちゃんは申し訳なさそうな顔をして手を振り消えていく。
――そして、祐介の目が覚めた。
「――ようこそ、勇者様! 召喚に応じてくださりどうもありがとうございます!」
ドレスを身に纏った金髪の女性が、嬉しそうに微笑む。
祐介は、自らに起きたことを、すぐに察した。
「いやぁああああああああああああああああああああああああああああああ!」