軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6「降臨じゃね?」②

心底わからない、と夏樹が首を傾げると、ゴッドは察したように肩を竦めた。

これは深追いしてはいけない話題である、とわかったようだ。

空気の読めるゴッドは、夏樹にわかりやすく話す。

「夏樹くんを召喚した国の王女さんが、懲りもせずまた召喚をするんですよ」

「ほえー」

「興味うっすっ!」

「いや、だって、興味ないから」

「でもでも、一応、異世界に派遣されてくれるんですよね?」

「約束したんで、ちゃんと異世界を破壊してきます! 安心してください!」

「待って、そうじゃないんです。その世界が滅んだら困るので夏樹くんを派遣するのに、破壊したら結果的に同じじゃないですか! やだー!」

「……じゃあ、どうしろっていうんですかー?」

破壊神扱いされる夏樹の思考はやはり破壊神だった。

だが、誰でも異世界で同じような目に遭えばこうなると理解はできる。

「夏樹くんの境遇を考えると、同情はしますが」

「あー、まあそこら辺はいいとして、異世界でどうすればいいんですか?」

「魔族側について異世界で無双していただければ」

「喜んで!」

「お返事が早い! やだこの子、きっと世界もろともすべてを破壊する気です!」

「そそそそそ、そんなことしないよー! なっちゃん平和主義だよー」

「めちゃくちゃ棒読み!?」

「たとえ世界が滅んでも、ゴッドの心に世界はあるんです」

「……なんて澄んだ瞳ですごいことを言うんですか。あなた、京都行く前にも同じようなこと言ってましたよね」

「あはははは、ジョークジョーク! 勇者ジョーク!」

ため息をつくゴッドに夏樹がからから笑う。

夏樹にとって、異世界は滅ぼしたい世界ではあるが、労力をかける価値がない存在である。

「魔族と人間の争いは過激さを増します。魔族が押しますが、最終的に自棄になった人間サイドが世界もろとも――という流れは、宇宙的に望みません。私が介入できるのは、夏樹くんがいなくなった異世界の時間帯にすぐに送ることだけです。魔王が話ができる方なので、協力して人間を倒してください」

「……ゴッドに倒せと言われる人間っていうのもなかなかいないよね!」

「ですね。ですが、私は宇宙の均衡を保つためにお仕事しているのです。利用してしまうようで申し訳ありませんが」

「いいよ、いいよ。思い返せば、俺ってあっちの世界になーんもお礼ができていなかったからねー。良いチャンスです」

にちゃぁ、と笑う夏樹は、どう見ても勇者とは思えなかった。

控えめに言って、破壊を企む魔王だ。

「――後日、喫茶店であらためてお話をしましょう」

「了解です! あ、行くのって俺だけじゃなくていいですか?」

「もちろんです」

「とりあえず、小梅ちゃんと銀子さんは連れて行くとして、一登もハブくと拗ねるからなぁ。千手さんと祐介くん、征四郎さんも連れて行こう。あ、しののんと円ちゃんも連れて行きたいなぁ。あ、ゴッド先生!」

「おやつに関してはゴッドマネーを支払わせていただきます。あ、領収書はお願いしますね」

「……ゴッドに領収書を求められるってなんかやだなぁ。そうじゃなくて! 酒呑童子のおっちゃんと、すさすさと、せーめーさんと、どぅーまんさん、ジャックとナンシーも誘っていいですか!」

「だ・め・で・す!」

「ちぇー」

「ゴッド的には、青山銀子さん、神奈征四郎さん、神奈義政さんと、ジャック氏、ナンシー氏、素盞嗚尊、マモンのメンバーに一つの世界を破壊されかけていますから! 本当に、頼みますよ!」

「……すげぇメンツだな。そりゃ世界も滅びるわ」

銀子が疲れていた理由も十分過ぎるほど理解した。

きっと振り回されていたのだろう。

「おや、そろそろ夏樹くんの目覚めの時間のようですね」

「……俺、寝た気がしないんですけど」

「申し訳ない。そして、申し訳ないついでに――祐介くんのこと……本当にごめんなさい」

「え? 待って、どういうこと」

「い、言えません。祐介くんは……うぅ」

泣く仕草をするゴッドに、夏樹は大いに焦った。

それじゃなくても不運な祐介にこれ以上なにが起きると言うのだ。

「ちょ、ま、祐介くんに何が起きるの!? いや、違う、もうなにか起きたの!? ねえ、ちょっと、うっすらと消えていかないで! ねえ、嫌だからね! 明日もまた大イベントで学校行けなかったら、お母さんにぶっ飛ばされるよ!? 言っておくけど、うちのお母さん魔王より強いからね! 異世界帰りの勇者でも手も足も出ないからね! ちょっと――」

「――अस्य कः अर्थः!?」

叫びと共に夏樹が飛び起きた。

「……さすがにサタンさんもサンスクリット語で、どういう意味ですか? とか朝から叫ばれると、こっちがどういう意味ですか? って尋ねずにはいられないんだけど」

気づけば、部屋で一緒に寝ることが当たり前になっているサタンがびっくりした顔でこちらをみていた。

「あ、ごめん」

「謝らなくていいんだけど、なんか受信したの?」

「――夢にゴッドが出てきた」

「そりゃ悪夢だわ」

サタンに同情されてしまう。

だが、その前にすることがあった。

夏樹は充電ケーブルに差しっぱなしのスマホを取ると、祐介に電話をかけた。

「――祐介くん、電話に出ないんだけど……やばくね?」