軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3「振替休日がないじゃね?」

「あら、夏樹。おかえりなさい。……まさか一泊二日で帰ってくるとは思わなかったわ」

仕事から帰ってきた母が夏樹を見つけて第一声がこれだった。

「ひどい!」

「てっきり、一週間くらいは京都にいるかと思ったのだけど。小梅ちゃん、夏樹のお世話をありがとうね」

「はっはっはっ! ええんじゃ、ええんじゃ……うちにクソ親父もお世話になりまくっとるんで、お互い様というか、こっちが申し訳ないんじゃが」

「そんなことないわよ。サタンさんのおかげで家の中は明るいし、お客様なのにご飯を作ってもらっちゃって」

丸テーブルに着き、「いただきます」をして談笑しながら食事だ。

エプロンを身につけたまま、「そんな春子しゃん」ともじもじするサタンは見なかったことにして、そっと目を逸らした。

「蘆屋くんから連絡があったわ。あちらのお家でお世話になったんでしょう?」

「素敵なお家でした……じゃなくて、なんでお母さんはどぅーまんさんとお知り合いで!?」

「学生時代の友人だけど?」

「学生時代の友人だけど!?」

夏樹は頭が痛くなった。

自分も異世界に行ったり、神や魔族と戦ったりしたが、母も大概だ。

(前々から思っていたんだけど、お母さんって交友関係がファンタジーな気がする! どうしたら蘆屋道満と学生時代に交流できるの!? あと、どぅーまんさんももっとひっそり現代で暮らしてよ!)

夏樹は内心で絶叫する。

昔から大らかな母であったが、大らかすぎる。

だが、そのおかげで救われたこともたくさんあったのだから、文句など口が裂けても言えない。

「あ、そうだ。これ、お土産ね」

「あら」

人数分の油取り紙を配り、みんなで食べられる量のお菓子を母に渡す。

「気を遣ってくれたのは嬉しいのだけど……修学旅行の楽しみがなくなっちゃったんじゃないかしら?」

「あー、それはそれってことで。またその時を楽しみます」

「ならいいのだけど」

修学旅行は京都だが、まだ半年後なのでその時考えればいい。

(……円ちゃんたちに会いに、その内行く予定だし。お金が……バイトしたいなぁ。でも中学生だからなぁ。水無月家で異世界の魔道具買ってくれないかなぁ?)

ハンバーグとオムライスを堪能する。

(京都のご飯も美味しかったけど、こういう家庭的な……いや、魔王サタンが家庭的な料理を作るのって魔王的にどうなの?)

「夏樹、一番大事な報告がまだだけど?」

「うん?」

「ちゃんと安倍円ちゃんと仲直りできたの?」

「そりゃもちろん!」

親指を立てて、満面の笑みを浮かべる夏樹に、母は深くを聞かず満足そうに頷いた。

「じゃあ、明日はちゃんと学校に行きなさいね」

「――え?」

「……そんなに驚いた顔をされると、お母さんも驚いちゃうんだけど」

「ふ、振替休日は?」

「なんでサボって京都行った子に振替休日があるのよ!」

てしーん、と音を立てて母に頭を引っ叩かれた。