作品タイトル不明
間話「向島モンエージェントじゃね?」⑦
――由良家の居間に青山銀子はいた。
かしゅっ、とビールのプルタブを開けると、これでもかと薄いグラスにゆっくり注ぎ最後にクリーミーな泡を作った。
そっとグラスを持ち、唇をつける。
そして、まるでお風呂上がりの牛乳でも飲むようにビールをごくごくと一気飲みした。
「――ふいぃー! かーっ、たまんねえっすねぇ! 生きていることに乾杯! 無事に帰ってきたことに乾杯! 地球万歳!」
あっという間に一杯飲み干した銀子は口周りに泡の髭を作ってご満悦だった。
そんな銀子に苦笑しながら、ジャックとナンシーが料理をしている。
時々、味見としてお互いに「あーん」をするなど微笑ましい光景だった。
「お風呂ありがとうございました!」
「すまないな、先にいただいた」
一緒にお風呂に入っていた神奈征四郎と義政少年は向島市に来るのに数日分の着替えを準備してあったので、それぞれ部屋着であるジャージを来ている。
「征四郎さんもビールでいいっすか?」
「すまない、いただこう。さすがに、酒を飲みたくなるほど疲れた」
「そうっしょねぇ。義政くんは牛乳とオレンジジュースでいいっすかね?」
「牛乳をお願いします。いくら僕でも、牛乳一気飲みしなけりゃやってやれないっすよ!」
征四郎と義政少年の前にそれぞれ飲み物を用意、再び自分のグラスにビールを注ぐ。
ジャックとナンシーを呼んで、一口グラスにビールを注ぐと乾杯した。
「ワームホールに飲み込まれて異世界に召喚されちゃいましたけど、無事に帰還で来てよかったね、ってことで乾杯っす!」
それぞれ「乾杯!」とグラスを掲げて、グラスを空にした。
「ああ! 主役の素盞嗚尊様を待たずに乾杯とか、泣くぞ! おもちゃを買ってもらえない幼稚園児みたいにわんわん泣くぞ!」
「さすがにいいおっさんがそれはきついっすねぇ。つーか、乾杯を前にビールが足りないとか言って買いにいっちゃったのはそっちじゃないっすか」
「まもんまもん。酒屋までは問題なかったんだが、銘柄で揉めてしまったのだまもんまもん」
「しょーもな!」
「俺は強欲な魔族であるがビールの銘柄にもこだわる魔族であるのだまもんまもん!」
「んで、結局どうしたんっすか?」
「飲みたいの全部買ったぜ!」
素盞嗚尊とマモンが六本入りの缶ビールを両手にひとつずつ持って笑顔を浮かべた。
「じゃあ、改めて乾杯しましょうっす! ――自分らは戦友っす! 地球の平和と、異世界を救った大英雄っす!」
素盞嗚尊とマモンのグラスを用意して、乾杯した。
今宵は盛り上がりそうだ。
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――その頃、ゴッド。
「あ、あいつら……いくら緩やかな滅びに向かっている世界だからって、破壊の限りを尽くしておいてどこか英雄ですか!? 破壊神ですからね!? あ、お腹いたい。く、薬、胃薬を……」