軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「向島モンエージェントじゃね?」⑥

「すまない、今回の一件の背後にいた者を捕縛していたら時間がかかってしまった」

「ごめんなさい、みなさん!」

ジャックとナンシーの乗る船に、無事戻ることができた銀子、征四郎、義政少年、そしてマモンと素戔嗚尊の一同は地球に向かっていた。

ジャックとナンシーが謝罪してくれたが、銀子たちにしたら無事に地球に帰ることができればそれでよかった。

ドップニャーニャー海賊団に囚われていた人質は、ジャックの友人であるボブ・モラレス・ウィン・ダーナー・スイトミー・牧村によって近くの星に送られていった。

彼らが人質になっていることは宇宙的ニュースにもなっているようで、安否が心配されていたらしい。

母星方でも、海賊団に屈したくはないが、人命を無視できないと身代金を払うかどうかで揉めていたと聞く。

人質になっていた宇宙人は銀子たちに「この恩は生涯忘れない。きっと恩返しを約束しよう」と握手を交わしている。

「もう宇宙は懲り懲りっす」

「……ははははは。銀子はおもしろいな。夏樹はもっと大暴れしていたぞ」

「……さすが異世界帰りの勇者はやべぇ」

「一登も千手もノリノリだったんだが」

「男子ってやぁああああああああああああああねええええええええええええええええええ!」

銀子、魂の叫びだった。

ちらり、と横を伺うと、征四郎と義政少年が肩を組んで宇宙の絶景に目を奪われていた。

素盞嗚尊とマモンも少年のように目を輝かせている。

「……本当に、男子ってやーねーっす。とにかくお家に帰ってシャワー浴びて茶の間でぐでーってしてビール一気飲みしたいっす」

「ふふふ。そんな銀子に報酬ってわけじゃないんだけど、月で作っているビールよ」

「――なん、だと」

「輝夜様御用達の有名なビールなのよ」

「……あれ? 今、聞こえちゃいけないビッグネームが聞こえた気がするっすけど……ま、いいか!」

「でも、ちょっと人間が飲むと寿命が伸びっちゃったりするんだけど」

「霊薬! それはもう霊薬! なにでできてるっすか、そのビール! 麦とホップと水だけじゃねえっすよね!?」

「……ちゃんと全部月産よ」

「その時点でやべえっすわ! 西洋の魔女とかに見つかったら、殺し合いがおきるほどっすからね!」

非常に残念ではあるが、銀子は月のビールを飲むのを諦めた。

いくら酒が好きでも、人間を超越する何かになってしまう可能性を秘めているビールは怖い。

「とりあえず、報酬は適当でいいっすから。警察官の範疇を越えまくりましたけど、結果的に向島市を守ったと思えば、良しとするっすよ」

なんやかんや言って銀子は良い人間だった。

彼女の心の中には、「きっと夏樹ならば笑って楽しかった、と報酬など求めないはず」だとわかっているからだ。

むしろ、この現代で、宇宙にUFOで向かい、宇宙海賊とガチバトルとかしたことが大きな経験という報酬だ。

「……でも、晩ごはんでは五百ミリの缶でお願いするっす」

「ふふふ。わかったわ」

ナンシーと銀子が笑った時だった、

「みんな! 掴まって対ショックの姿勢をとるんだ!」

急にジャックが叫んだ。

「何事っすか!?」

「――予定にないワームホールだ! くっ、引き寄せられてしまう! このままでは、我々は予期せぬ場所にワープをしてしまう!」

征四郎と義政少年がシートに座ってベルトを装備し、素盞嗚尊とマモンがビビって抱き合った。

「はぁああああああああああああああああああああああああああ!?」

そして、銀子の大絶叫が宇宙に響くのだった。