作品タイトル不明
60「飽きたから戦うんじゃね?」
「待てい! 向島戦隊なんてどうでもいいのです! ちょっと聞こえてきたのでごわすが、鬼っ子と結婚したヒューマンがいるとはどういうことでごわずか!?」
「あ、祐介くんがちょっとおかしくなっちゃった」
「いや、元からじゃろう」
「シャラップ!」
残念ながら方向性の違いで解散してしまった夏樹たちではあるが、戦いは続けなければならない。
ソロ活動も重要なのだ。
だが、祐介の関心はこっそり聞き耳を立てていた鬼と人間の結婚に関してだった。
「お、おう、なんか血走った目をして怖い奴だな。さっきも東雲には言ったんだけど、この間結婚式でな。まったく、あの野郎、いい旦那もらいやがったぜ」
「いいなー! いいなー! 僕も鬼さんと結婚したいなー!」
「ちらちら見んな! その期待する目をやめろ! なんで、襲撃してきた野郎どもと俺が結婚しなきゃならねえんだ!」
「あたいらはそんなに安くねえぞ!」
「べあべあ!」
祐介はあわよくば鬼たちを連れて帰りたいようだが、仮に可能だったとしてご家族にどうやって話をするのだろうか、と気になる。
「とりあえず、祐介さ。人間食う化け物と共存なんてできるわけないじゃない。それじゃなくたって熊さんが最近人里に現れて大変なのに、鬼で熊とかもう殲滅対象でしょう」
「おい、こらぁああああああああああああああああ!」
夏樹の発言の何かが気に障ったのか、鎧を身に纏った鬼――星熊童子が怒りに任せて拳を振るった。
「熊童子は人間なんて食ったことねえよ! どんぐりと蜂蜜が大好きな、料理好きな女の子なんだぞ!」
振るわれた拳が夏樹の左頬に向かうが、屈んで避けると、そのまま腰に力を入れた拳を星熊童子の鳩尾に入れた。
「かはっ、うっ、……おえぇぇ」
星熊童子はその場に膝をつき、血の混ざった胃液を吐き出してしまう。
夏樹は感情の篭らない目で、鬼を見下ろすと、淡々と告げた。
「ゴッドは言っていました。頬を叩かれそうになったら、かわして鳩尾に一発キメなさい、と」
「てめぇ……いいパンチだ。内臓が飛び出るかと思ったぜ」
割と力を入れて叩き込んだ拳を受けながら、星熊童子にはまだ余裕がありそうだった。
立ち上がる前に、夏樹は彼女を蹴り飛ばす。
跳ね飛んだ星熊童子を、二人の鬼が受け止める。
「さてさて、もう茶番も飽きたから殺すね」
聖剣を握りしめて嗤う夏樹に、誰もが驚愕を隠せないでいた。
「散々、ギャグみたいなことやっとった癖に飽きたからって急にバトルパートに入られても、俺様たちは追いつけんのじゃが!?」
「切り替えスイッチがどこについているのかわかんねえんだよ、お前は!」
「ま、待ってくれ夏樹くん! いや、ギャラクシー河童勇者レッド様! 話せば、話せば、結婚できるって!」
「……自分も結構アレな自覚あるんけど、夏樹くんも大概やね」
そう言いながらも、小梅、千手、祐介、東雲も構える。
「いい度胸だ! ぶっ殺すのはこっちだ! この星熊童子と!」
「虎童子!」
「べあべあぁあああああああああああああああああ!」
「熊童子の三人を前にして勝てると思うんじゃねえぞ、人間!」