作品タイトル不明
間話「向島モンエージェントじゃね?」④
「あんだテメェは! 俺をドップニャーニャー海賊団の後継者タマ・アンジェロ・マルンス・オルジュン・猫田とわかってんのか、ああ!?」
現れたマモンにタマが荒い口調で叫ぶ。
だが、七つの大罪の強欲を司る大魔族マモンにとって、タマは脅威ではなかった。
「まもんっ。タマがニャーニャー鳴きたいようだが、実にくだらん。俺は強欲な魔族だが、多忙な魔族でもある。この後、動画編集と、亜子さんとのデートのプランを考えなければならないため、早々に片付けさせてもらおうまもんまもん」
「ふざけた語尾しやがって!」
「貴様の名前ほどではないのでまもんまもん!」
タマは感情に任せて銃を撃つが、マモンに当たることはなかった。
彼の魔力が障壁となり、弾を受け止めていたからだ。
「宇宙人がどれほどの相手か楽しみにしていたのだが……拍子抜けだな、まもんまもん」
マモンが指を軽く上に向けると、タマの屈強な肉体が天井に激突し、続いて床に勢いよく落ちた。
たったそれだけの動作で、タマの顔面はぐちゃぐちゃになり、激痛でうめいている。
「マモンさんつえーっす!」
「まもんまもん……確か、天照大神の友人の腐女子だったな」
「どんな覚え方しているっすか!? 青山銀子っす!」
「些細な問題だまもんまもん。ところで、敵はこれだけまもん? 貴様ら宇宙海賊を相手に戦うと聞いたので、助っ人にきたのだまもんまもん……どうやら過剰戦力だったようだなまもんまもん」
「いえ、この猫耳おじさんの登場は色んな意味でやばかったんで、助かったっす」
タマが強いとか弱いではなく、視覚的に大ダメージを与えてきていたので、まともに戦えなかっただろう。
むしろ、平然と対峙できたマモンのほうが異常だ。
まもんまもんと愉快な語尾をつけている男は、屈強な男性に猫耳と尻尾が生えていても動じないのかもしれない。
「まもんまもん。そちらは人質か。つまらんことをするでまもんまもん」
「そうっすね。ですが、マモンさんのおかげで助かったっす。ありがとうございました」
「礼などいらない。俺は由良夏樹に借りがあるからまもんまもん」
そう言ったマモンはきょろきょろ誰かを探すように視線を動かす。
「どうしました?」
「まもん……由良夏樹の姿が見えんのまもん」
「あー、夏樹くんなら酒呑童子をぶっ殺しに京都に行ったんで、宇宙にはいないっすよ」
「――ま、もん」
「愕然としているところ申し訳ないっすけど、以前よりも喋り方バグってねえっすか!? そんなまもんまもん言っていましたっけ!?」
夏樹がこの場にいないことを知りショックを受けたマモンに、銀子が突っ込んだ。
その時だった。
宇宙船の外で素盞嗚尊がすべての海賊船を破壊し、壊滅させ終わった姿が確認できた。
「まもん……まさか素盞嗚尊がここにいるとはまもん」
「ご存知っすか?」
「ああ……奴め、さまたんさまから授かった俺の語尾をダサいと言った割に、最近ではすさすさ言っているではないか! 俺は強欲な魔族だが、誇り高き魔族でもある! ゆえに、素盞嗚尊とは不仲でまもんまもん!」
「――あ、やべ。これ、喧嘩しそうな流れっすね。ジャックさん、帰還しましょう! 早くきてー!」