軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

57「熊が混ざってね?」②

「な、なんで熊さん!? 鬼じゃないの!?」

「あああ? どこに目を付けていやがる! どこに熊がいるんだよ!?」

「あんたの目こそどこについてんだよ!? そこにいるじゃねえかああああああああああああああああああ!?」

夏樹が指差す方を鬼が見る。

「……いや、意味がわからねえ。こいつは俺らの可愛い妹熊童子だ! 鬼じゃないとかそういう酷いこと言うな!」

「屋敷を壊すし、可愛い妹を鬼じゃないとか言いやがって、あたいらが何したって言うんだ!」

「べぁぁぁぁ」

「ほら見ろ! 熊童子が悲しそうに鳴いているじゃねえか、どう責任取るんだよ! あ!?」

本当に悲しそうに鳴く熊――熊童子に、不思議と夏樹は悪いことをしたように思えてしまう。

「まあまあ、落ち着いて。夏樹くん、僕に任せてほしい」

「ゆ、祐介くん?」

なぜか今までにないほど気合いが入った祐介が静かに前に出た。

夏樹は、熊童子たちがかなり強い部類に入ることを理解していたので、祐介に任せて良いものかと悩んだ。

「おい、佐渡! お前、妖怪に関してはまだ割り切れてねえだろ」

「祐介、おどれもまだ本調子じゃないんじゃがから、特攻隊長する必要はないじゃぞ」

「僕に、任せて、ほしい!」

無駄に圧力を込めて、祐介が言う。

瞬きをせず爛々と光る血走った目に、千手と小梅もちょっと怖くなって一歩引いてしまった。

「夏樹くん、僕に任せてほしい」

三度目のお願いをした祐介が夏樹の肩に手を置く。

「あ、あの、祐介くん? 肩がね、ミシミシいってるんですけど。めっちゃ痛い、砕けちゃう! らめぇ! わかったから、任せるから!」

「ありがとう。話し合いができてよかった」

「力で脅されたけどね!」

夏樹の訴えを無視して、祐介は三人に近づいていく。

鬼たちが身構えた。

祐介は、鬼たちの間合いの一歩外で足を止めると懐からスマホを取り出した。

「やあ、レディ。僕は佐渡祐介。異世界で辱めを受けたシャイな勇者さ! よかったら、携帯電話の番号とメールアドレス、各SNSを相互フォローしないかい?」

鬼たちの返事は拳だった。

地面を滑って戻ってくる祐介は、鼻血を垂らしながら悔しげな顔をした。

「残念だけど、交渉は失敗したよ」

「祐介くんナンパしただけじゃん! この節操なし!」

「佐渡ぃ! 今くらい真面目にやれよ!」

「そうじゃぞ、見ろ! 東雲が悲しそうに夜空の星を数えとるじゃろう! どうすんじゃ、この気まずい空気!」

小梅が指差した東雲は、本当に空を見上げて星を数えている。

涙を堪えているように見えるのは気のせいだと思いたい。

「いい加減にしがやれ! 襲撃して、漫才して、やりたい放題だな! くそったれ! 誰だてめえら!」

鎧を纏った鬼が、我慢できずに叫んだ。

夏樹たちは、その問いかけを待っていたように、横並びになる。

そして、順番にポーズを決めた。

「聞かれたなら答えよう! 俺は異世界から帰還し、宇宙の使命をなんとなく背負ったかもしれない河童の守護聖人! ギャラクシー河童勇者レッド!」

「神界一の美女が誰じゃと!? それは俺様じゃ! 小梅・ルシファーホワイト!」

「向島の苦労人! はちゃめちゃは勘弁してくれ、呪われし魔眼を持つ七森千手ブルー!」

「異世界で酷い目にあった純情ボーイ! その角素敵ですね! 佐渡祐介グリーン!」

「京都代表! 安倍家のやんちゃ者! 安倍東雲ブラック!」

聖剣さんが呆れたように、指を鳴らすと、各自ポーズを決めた夏樹たちの周囲に雷が走り爆発した。

「向島戦隊! 河童レンジャー!」

「美少女戦隊! ルシファージャー!」

「魔眼戦隊! 向島ーズ!」

「悲劇戦隊! 亜人大好きんじゃー!」

「……あかん、なにも思い浮かばん自分を誰か罰してくれへんか!」

絶好調な夏樹たちに対し、鬼たちはドン引きだった。