軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「向島モンエージェントじゃね?」③

「……最近の幼稚園がやべーってことは置いておくとして、いや、置いておいちゃだめなんっすけど、今はもう突っ込む力がねーっす。とりあえず、このまま素盞嗚尊様とジャックさんと合流して、脱出を」

「そんなことさせるわけがねえだろう!」

銀子がこの場からの撤退を提案すると同時に、男の怒声が響いた。

刹那、閃光が放たれ、銀子の魔剣太郎と魔剣花子を弾く。

「青山!」

征四郎が男と銀子の間に割って入るが、十束剣を振おうとするが、それよりも早く肩を撃ち抜かれた。

「征四郎おじさん! ――おのれ!」

義政少年が二丁拳銃を構えると、男の銃によって弾かれてしまう。

「――っ、できる!」

「このクソ地球人が舐めてんじゃねえぞ! ああ!?」

男は、両袖がないジャケットを羽織った長身の中年男だった。

屈強な肉体はまさに鍛え抜いたものであり、腕など丸太のように太い。

スキンヘッドに、片目に眼帯をつけ、いかにも悪党といった風体だった。

なによりも目を引くのが、そんな男の頭には、可愛らしい猫耳があった。

(わ、笑うなっす! 笑っちゃダメっす! 青山銀子! こんな状況で爆笑したらマジで死んじゃうっすから! でも、こんなおっさんに猫耳って、くっそウケるっす!)

笑いたいのは征四郎と義政少年も同じようだ。

必死に身体をつねって我慢している。

一方、天王星出身の政治家ディロン・カロン・カッシー・アリエル・木村と、その家族は男の存在に心底怯えたように震えている。

「まさか首輪を外す技術が地球にあるとは思わなかったぜ。面倒臭えから、今度は首輪じゃなくて、手足を引きちぎってやるよ! ああ!」

「ぶはっ……あ、あんたは誰っすか?」

「まさか俺を知らねえで、ここまでやりたい放題してくれるとは思わなかったぜ! 俺は、ドップニャーニャー海賊団の後継者! タマ・アンジェロ・マルンス・オルジュン・猫田だ!」

「ぶひゃっ……た、耐えろ、銀子ちゃん。耐えるっす!」

ドップニャーニャー海賊団の後継者を名乗る男は、屈強な見た目に反し、猫耳といい、名前といい、猫よりだった。

(そ、その見た目でタマって……やべっ、やべえっす! 呼吸困難になるっす!)

征四郎もブルブル震えている。

よほど舌を強く噛んで笑うのを我慢しているのだろう、口から血を流している。

義政少年も下を向いて小刻みに痙攣しているが、絶対にわらっているはずだ。

征四郎の背中に乗っている幼女だけが、タマに指を差して爆笑していた。

「どうやら、震えるほどびびっちまってるようだな! ああ!? 俺は、親父と兄貴を地球人の二度の襲撃で失っちまってよう。部下もなにもかも壊滅状態だ。俺があらたなドップニャーニャー海賊団の首領として立て直しをしようとしたら、またてめえら地球人だ!」

銀子たちが怯えていると勘違いしたタマは、余裕ぶって背中を向けた。

本来ならば、隙ありと襲いかかりたかった銀子たちだが、できなかった。

――なぜなら、タマのお尻から可愛い尻尾が生えていたからだ。

「ぶぶぶぶぶぶぶっ」

もう我慢できずに笑ってしまった。

せめて笑い声が漏れないように必死に手で覆うが、なかなか難しい。

「そもそもてめえら、宇宙舐めてんじゃねえぞ。サポートを受けていない剣で俺の銃が防げるわけがないだろうが! ああ!? そっちのガキも、いい銃を持っているようだが、所詮、ガキもガキだ。戦場に来たのが間違いだったな。てめえは、地球人収集を趣味にしている好事家に売ってやるよ」

「――まもんまもん」

高笑いをしているタマの声に被せるように、低く渋い声が響いた。

「誰だ!?」

まだ仲間がいたのかと警戒するタマが銃を構えると、カツン、カツン、と靴音が近づいてくる。

「あ、あなたは!?」

「まももももももももももん! 待たせたな! 俺は強欲だが借りを返す律儀な七つの大罪の魔族――マーモーンー!」

「いや、待ってねーっすけど!?」

グレーのスーツの上に割烹着を着た、かつて夏樹が敵として戦った七つの大罪の魔族マモンがそこにいた。