作品タイトル不明
間話「向島エージェントたちじゃね?」②
「はぁ、はぁ……ようやく全部片付きそうっすね」
素盞嗚尊によってドップニャーニャー海賊団残党は壊滅状態だった。
残るは、銀子たちがいる宇宙戦艦のみ。
「……どいつもこいつも、強面のおっさんが――くっ、ころせ! とか誰得っすか!? 女騎士とか姫騎士じゃなけりゃ言っちゃいけないっていう法律を知らないっすか!」
「そんな法律はないからな」
呆れた声を出すのは、征四郎だ。彼も額に汗を浮かべて息を切らしている。
彼の背中には黒づくめの幼女が相変わらずくっついており、銀子のほうをじっと見つめると、なぜか、ぐっ、と親指を立てた。
はて、と首を傾げる銀子だが、おそらく幼女はくっころに関して銀子と同意見なのだろう。
銀子も一応親指を立てておく。幼女は満足そうに頷いた。
「青山さん、征四郎おじさん、こちらを見てください。ドップニャーニャー海賊団に囚われた方々がいます!」
義政少年が示す方を見ると、檻の中に閉じ込められている男女十名を見つけた。
子供から大人まで、全裸に首輪をつけられている。
「……どんなプレイっすか?」
「どう見ても囚われの身だろう! なぜプレイだと思うんだ! いいから助けるぞ!」
「はぁ。戦うだけでも疲れるのに、宇宙人助けまでしないといけないとは……お手当期待しているっすよ、ジャックさん」
魔剣花子を握り、ひと振りすると檻は簡単にバラバラになった。
「今外してあげるっすからね」
「やめてくれ!」
「――んん?」
まずは子供からと思い、首輪を外そうと銀子が近づくと、囚われていたひとりが絶叫に近い声を上げた。
「この首輪には爆薬が仕込まれているんだ!」
「なんでそんなことを?」
「……私たちが逃げないようにだろう」
「えー、失礼ですが、あなたたちはどこのどなたですか?」
「わ、私たちを知らないのか?」
「だから聞いているっすけど?」
「……ここがどこであるか把握できていないが、私は天王星で政治家をしているディロン・カロン・カッシー・アリエル・木村だ」
「……ジャックさんもそうっすけど、なんで最後に日本の苗字が出てくるんすかねぇ」
宇宙人の無駄に長い名前も気になるが、このままにしておくことのメリットとデメリットを考える。
メリットは、正直ない。
デメリットは、最悪囚われているディロンたちが死んでしまうとジャックに問題追及がいくかもしれない。それは銀子としても望まない。
「ジャックさんが来るまで待機っすかね」
「……私たちのことはいい。捕まった時に、覚悟はしている」
「あなたはそれでいいかも知れないっすけど、お子さんたちは」
「我が子たちも、政治家の子供であるのだから覚悟はしている」
「……そう言われてもっすねぇ」
ディロン自身が強がっているが死の恐怖に震えていた。
子供たちも泣き言は言わないが、静かに涙を流し、母と思われる女性が抱きしめている。
(あー、後味悪いっすねぇ。いっそ、宇宙人的な容姿だったらよかったのに、人間と見た目がかわんないせいで……うう、困ったっす)
銀子が頭を抱えていると、
「はい。これで首輪は解除できましたよ」
と、なぜか義政少年がディロンの首輪を、さっと外してしまった。
一瞬身構えた銀子たちだが、爆発もなにもしない。
「ば、馬鹿な、無理やり外そうとして何人も死んでいるのだぞ?」
ディロンは信じられない物を見るような目を向けると、義政少年は眼鏡をくいくいしながらドヤ顔をした。
「――幼稚園で習いました」
「その幼稚園すげぇええええええええええええええっす!」