作品タイトル不明
間話「向島エージェントたちじゃね?」①
(――私は青山銀子。お酒とBLが大好きな元女子高生! そんな私っすけど、……ただいま交戦中っす。誰かたしゅけて)
場所は宇宙。
ドップニャーニャー宇宙海賊団の戦艦の中で、黒いスーツを身にまといサングラスを装備した青山銀子が魔剣太郎を握りしめ、宇宙的なモンスターや宇宙人を斬り捨てながら半泣きしていた。
「私は京都にも行かず、おとなしく書類仕事していただけっすのにぃいいいいいいい!」
「泣き言は後にしろ! 由良夏樹、三原一登、七森千手も通った道だ!」
「別に通りたくはねえっすから!」
宇宙にいるのは銀子の隣では十束剣を振るう神奈征四郎もいる。
彼も銀子と同じく院に所属する霊能力者としての立場から京都行きに参加していなかった。
その代わりと言わんばかりに、素盞嗚尊に拉致られてドップニャーニャー海賊団と戦う羽目になっている。
「あ、あの、ところで征四郎さん? 背後に陰鬱とした幼女を背負っている気がするのは気のせいっすか?」
「気のせいだ!」
腕が八本あるモンスターを両断し、叫ぶ征四郎の背中には黒づくめの幼女が張り付いている。
銀子と目が合った少女は「にたぁ」と笑う。
(こわっ!)
口に出してはいけないと必死で堪えた。
「征四郎おじさんは月読命様から頂戴した神剣に名付けがうまくできず、そのせいで祟られている……いえ、催促されている感じですね」
そう言ったのは、五歳児のくせに黒スーツをノーネクタイで着こなし、宇宙的二丁拳銃でモンスターを撃ち抜いている義政少年だった。
「ちょ、義政くん!? なんで、君がここにいるっすか!? 危険だからってジャックさんが地球に置いてきたはずなのに!」
「ふっ、宇宙と聞いて心躍らない男の子がいるはずありません。気配を消してあなたたちのあとからジャック氏の宇宙船に忍び込みました」
「この五歳児、絶対中の人いるっすよ!?」
「え? 中の人ってなーにー?」
「胡散くさ!」
そんな会話をしながらも、銀子たちは視界の中にいた敵を全て一掃し終えた。
「よくもドップニャーニャー海賊団を! まさか地球人ごときが主力船団を壊滅したと聞いていたが、まさ」
幹部らしき者が出てきたが、話の途中で義政が額を撃ち抜き、銀子が首を刎ね、征四郎が縦一線に斬り裂いた。
どしゃり、と音を立てて臓物を船の廊下にぶちまけ絶命する、海賊団の幹部と思われる男に目をくれず、義政少年が戦艦の外を指差した。
「征四郎おじさん、銀子さん、外を見てください。素盞嗚尊様が」
「うわぁ」
「……やりすぎではないか?」
宇宙空間にも関わらず、天叢雲剣を構えた黒スーツ姿の素盞嗚尊が向けられていた主砲ごと戦艦を思い切りぶった斬った。
「――なっちゃんとすさすさの前世から来世まで大親友斬り!」
「技名ださいっす! 素直に天叢雲剣って叫べばいいのに! なんでそんなに夏樹くんの親友枠にこだわるっすか!?」
銀子のツッコミが宙に響き渡った。