作品タイトル不明
23「炒飯と餃子は最高じゃね?」②
餃子パーティーは楽しかった。
サタンと一登が作った炒飯も絶品で、みんなでホットプレートを囲んで餃子を焼きながら、焼き目がどうだとか、プレートにひっついてしまったとかとにかく賑やかだった。
餃子が焼ける頃にはジャックとナンシーも家族との通信を終えて、夕食に合流した。
餃子はお酢と醤油か、スーパーで買える餃子のタレを使うことが多かった由良家だったが、一登はお酢に一味をたっぷり、小梅はお酢と醤油にさらに豆板醤を追加している。銀子は味噌ダレを好み、サタンはわさび醤油とそれぞれの好みで食べていた。
ときにはそれぞれのタレを試し、「これもこれでありだな!」とそれぞれが笑う。
ジャックとナンシーは、みんなのタレを食べてはどれが一番好みか真剣に考えている。
すると、
「あー! 僕抜きで餃子パーティーしてるー! ずーるーいー!」
まるで我が家のように入ってきたリヴァイアサンが頬を膨らますと、春子が手招きして自分の隣に座らせる。
その光景にサタンがジェラって、娘から「嫉妬する魔王きんもー」としらけた目を向けられていた。
楽しい時間はあっという間だった。
夕食の時間に母と意見をぶつけ合うことはしたくなかったので、食事のあとが勝負だ。
(ふっ。異世界帰りの勇者の戦略にかかれば、お母さんの説得などちょろいのさ!)
「お母さん!」
「なあに?」
「片付けは俺に任せてよ。今日はのんびりテレビでもみてビール飲んでて」
「あら、そう? じゃあ、お願いしちゃおうかしら」
まずは、夕食の片付けをすることで好印象を与えておく。そして、アルコールを摂取させることで、気分よくなってもらうのだ。
(――自分の才能が恐ろしい)
プレートを手際よく洗い、お皿もテキパキ片付ける。
洗ったお皿を簡単に布巾で拭いて、食器乾燥機にかける。
(しまった。食洗機を水無月家マネーで買ってきてプレゼントしたほうがよかったかもしれない)
夏樹は手を拭き、手伝ってくれたナンシーとリヴァイアサンに礼を言うと、母の背後に立った。
「お母様、肩でもお揉みしましょうか?」
「なに、夏樹? もしかしてお小遣いがほしいの?」
「いえ、そうではなくてですね」
「ならなによ。怒ったりしないから言ってみなさい」
ほろ酔いのおかげか、母はテレビを見ながら優しい声を出してくれた。
今がチャンスだ、と確信した夏樹は母に正直に告げた。
「――明日、京都に行ってきます」
返事はない。
しかし、母の対面に座っていたサタンが「ぴええええええ」と小さな悲鳴を上げた。
「――Jesus」
サタンの泣きそうな顔を見て、失敗を確信した夏樹は天を仰いだ。