作品タイトル不明
11「真面目なお話じゃね?」①
水無月家の客間を借りて、身だしなみを整えた夏樹たちが座布団の上に座っていた。
天照大神を上座に、右側に夏樹たちが、左側に安倍家が座っている。
「……まずは、妹たちが由良夏樹くん、三原一登くんを狙ったことを心からお詫び申し上げます」
最初に声を上げたのは、安倍東雲だった。
彼は畳に手をつき、額を擦り付けるように下げた。
「あー、東雲さん。顔を上げてくれ。被害はゼロだったから謝罪はいいよ」
「俺も謝らなくてもいいですよ。個人的な情報漏れの原因もわかりましたから。それに、兄のせいで誰かに狙われることは初めてではないんです。ただ、霊能関係の人が初めてと言うだけで、ねえ、夏樹くん」
「だよねぇ。ガチで殺意持って襲ってきた奴とかいたもんねぇ。そのくらいじゃ、利用しようと企むくらい別にって感じだよ。うんうん」
もちろん、一方的に利用されるのは腹立たしくあり、いきなり襲ってきたことには思うことがある。だが、安倍東雲とは裸の付き合いをした仲だ。このくらい許してあげたい。
被害で言ったら、夏樹を制しようとした女性霊能力者の方が一方的にダメージを負っただけで、夏樹は攻撃すらしていないのだ。
「寛大なお言葉に心から感謝します。妹たちも……今は少々あれなんで、あとできっちり謝罪させますんでご容赦を」
「あー、はい。それはそれで別にいいんですけど」
安倍姉妹だけではなく、小梅、銀子、天照大神も会話に参加せず上の空だった。
その原因は、サウナから飛び出してきた夏樹たちをスク水装備をした彼女たちが裸体を拝んだのがきっかけだった。
まず天照大神に圧倒的な雄々しさを見せつけたのは、一登だった。彼の股間に住まう大蛇の荒ぶりに、「え? 八岐大蛇?」と天照大神が絶句したのは言うまでもない。
今も、「ネッシーは一登きゅんだった」とか意味のわからないことを言っている。
続いて、小梅と銀子だ。彼女たちは、女の子がしたくないはずのティッシュを鼻に突っ込んだ状態で「……あれが挿いるんか?」「ファンタジーよりファンタジーっすよ」となにか呟いている。
彼女たちが目撃したのは、夏樹の聖剣だった。
一登には及ばないが、中学三年生とは思えない、なかなかのものだ。
安倍きららもそんな夏樹のプリンスを直視してしまったことで、瞳を隠していても動揺していることがはっきりとわかる。もちろん、彼女もティッシュで鼻栓をしている。
時折、なにかを思い出しては「うわぁ、えー、ちょ、無理くない?」とか言っていた。
安倍音叉も、ときめいてしまった千手の股間を目撃してしまって、上せたように顔を赤らめている。だが、「想像していたよりもでっかいんだが、あれ、サイズが違くない?」と一登と比べてしまい、大きいのか小さいのかわからないようだ。
とはいえ、ときめいたばかりの千手の裸体を目撃してしまったことで、彼女の鼻に埋め込んだティッシュは血を受け止めきれず、鼻の下を赤く濡らしていた。
そんな音叉に対して「いや、千ちゃんの千ちゃんはちっちゃくねーし」とかブツブツ言っていて、祐介と征四郎に左右から肩を叩かれている。
祐介と征四郎は裸体を見られたことで恥ずかしさを覚えたが、騒ぐ歳でもないし、と大人の対応だ。
義政少年がニヒルな笑みを浮かべて「男はサイズじゃないんですよ」と客間から青空を見つめていた。
「いや、こんな状況で真面目な話できるの!?」
公平な立場で話し合いに立ち会う水無月都が困惑気味に叫び、澪が躊躇いがちにうんうんと頷くのだった。