作品タイトル不明
間話「グレイさんたちじゃね」
「やあ、ジェシー。まさか地球に来ていたとは思わなかったよ」
「久しぶりね、ジェシー。この間、海賊に襲われたと聞いた時はびっくりしたけど、こうして元気な姿を見られてなによりだわ」
由良家の茶の間で円テーブルを囲って、ジャック・ランドック・ジャスパー・ウィリアムソン・チェインバー・花巻は、婚約者のナンシー・ピーティー・ロットロット・ナイジェリマリー・赤星と共に、妹のジェシー・ランドック・ジャスパー・ウィリアムソン・チェインバー・花巻と会っていた。
「私もよー! 一登様を探して地球に来たけど、まさかお兄ちゃんとお姉ちゃんがお世話になっているお家とすぐ近くなんてとても偶然ねー! しかも、一登様までお近くにいるなんて、これって運命でーす!」
再会を喜ぶグレイ三人に、エプロンを付けたサタンがそっとお茶を出した。
「サンクス! ジャパニーズグリーンティーは美味しいでーす」
お茶に喜ぶジェシーに、サタンはぺこり、とあいさつをすると、茶の間から出て階段を上がり夏樹の部屋で「グレイさんが三人も揃っているんだけど、こっわ」とビクビクしていた。
「しかし、ジェシーはまだ一登と会っていなかったのだね」
「そうなんでーす。地球でさっそくお仕事があってホッとしていたんでーすが、忙しくてねー。でも、お兄ちゃんとお姉ちゃんがここにいるってことは、一登様もお近くにいるってことよねー?」
「そうなんだが、その」
「どうしたのねー?」
言い辛そうにするジャックに、首を傾げるジェシー。
婚約者の代わりにナンシーが告げた。
「ジェシーのお世話になっている水無月家に、今頃一登くんは伺っているはずよ」
「ホワイ!?」
「先ほどから思っていたんだが、なぜジェシーは海外の方が頑張って日本語を使っている感じなのだろうか?」
「んなことはいいのねー! お兄ちゃん、お姉ちゃん! ごめんなさい! 一登様にお会いできるかもしれないのなら、今日は帰りまーす!」
「ふふふっ、頑張ってね、ジェシー」
「ありがとでーす!」
元気よく手を振って由良家から飛び出していくジェシーを見送り、ジャックはナンシーの肩を抱き寄せた。
「幼い頃は病弱でベッドから出られなかった妹がこんなに元気になってくれるとは嬉しいものだね」
「ええ。絵本ばかり読んでいて地球に憧れていたジェシーが、私たちと同じように地球にいることは幸せね」
「一登はとてもいい男だ。ジェシーを任せられる」
「あらあら、まだ早いわよ、ジャック。こういうことは時間が大事なの。ジェシーのことをちゃんと見守ってあげましょう」
「そうだね。まったく、私はどうやら心配性のようだ」
「あらまあ、ジャックったら、心配性なのはジェシーに関してばかりじゃない」
「おいおい、私はナンシーに対してもいつでも心配性さ」
「まあ、ジャックったら」
ははは、ふふふ、とアメリカのアットホームなドラマのワンシーンのように微笑むジャックとナンシーを様子をこっそり伺っていたサタンはちょっと震えていた。
「……グレイさんに惚れられているって、天照大神やサマエルも気にかけてる一登だろぉ。いや、一登様! そのモテモテパワーを俺に分けてください! 俺も春子しゃんといい感じになりたいんです!」