軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エピローグ「そうだ。京都に行くんじゃね?」

「メバルの煮付けー!」

「黒鯛のカルパッチョじゃ!」

「ビールが最高っす!」

「一登に感謝じゃー!」

「夏樹くんボウズ!」

「しゃんとせんかい!」

「いえーい!」

「いえーい! なのじゃ!」

由良家の夕食は賑やかだった。

食卓に並ぶのは、飴色になるまで煮詰められたメバルと、鮮やかな野菜と共におしゃれに盛られた黒鯛のカルパッチョ。

他にも大型のメバルをいくつか選んでお刺身に。小型のメバルと骨はパリッとなるまで高温の油で唐揚げと骨煎餅にした。

「太一郎くんの持ってきてくださった白ワインにお魚たちが合うわね。グラスまでいただいてしまって、申し訳ないわ」

「い、いえ、春子しゃんに使っていただけたらグラスも喜びます。それに、ワインだってそんな大したものではないですから」

母もワインを片手にご機嫌だ。

あと、サタンがこっそりペアのグラスを一緒に使っているのが気持ち悪い。

魔王のくせに搦手だ。

「ふむ。サタン殿が持ってきてくださったワインは素晴らしい」

「グラスも素敵ね。どちらの国で作ったのかしら。お土産に買っていきたいわ」

「そうだね、ナンシー。なんなら工房ごと買ってしまおうか」

「あらやだ、ジャックったら」

サタンは、春子だけではなくジャックとナンシーにも別のペアグラスを持ってきている。

気遣いができる男のようだ。

ついでに娘と銀子とリヴァイアサンにもこれでもかと薄いグラスを渡しており、ふたりはさっそくビールを注いで楽しんでいる。

「……もしかしてだけど、夏樹くん……毎日こんな賑やかなの?」

「異世界から帰還して数日したら、気づいたら揃っていました」

「……由良家がファンタジーだよ!」

「ですよね!」

夏樹と一登は、サタンがお土産にと買ってきてくれたお茶碗にご飯を大盛りにして、育ち盛りの子供らしくお米をかきこみながら会話していた。

「えっと夏樹くんって何日?」

「今日で十四日目っす。二週間っすね」

「……その間に何があったって?」

「自称幼馴染がたくさん沸いていて、銀子さんに確保されて、水無月さん真っ二つにして、ジャックと邂逅して、千手さんボコして、小梅ちゃん真っ二つにして、土地神殺して、まもんまもんぶっ飛ばして、蓮君ボコして、サタンが遊びにきて、ルシフェルさんも来て、ゴッドと会って、リリスさんと会って、天照大神様と会って、マモンと会って、月読先生の正体知って、すさすさぶっ飛ばして、征四郎さんちでざまぁ祭りして、遠野でぬらぬらたち妖怪から歓迎されて、河童さんに神輿担いでもらって、京都の安倍さんと喧嘩して、リヴァ子さんが憑いてきて、雷神トールとガチンコ喧嘩して、オーデインさん含めてみんなで飯食べて、一登と釣り行ったと思ったらポセイさんがポセイドンで、布袋様がキャラ被ってるとかいって殴り込んできて、帰りに京都の刺客に襲われて月読先生が登場して……現在ご飯中かな」

「――濃っ! ていうか、水無月さんって真っ二つにされているんだ!? 小梅さんも!? あと、ぬらりひょんとか河童神輿とか、雷神トールとか、安倍さんとかよくわからないんだけど!?」

「ははははは。内容は濃いけど、クソみたいな異世界でクソみたいな異世界人相手にするより楽しいから平気平気」

「そろそろ異世界と異世界人のことを本格的に知りたくなってきちゃったんだけど」

気づけば四月もそろそろ終わりに近づき、GWもすぐそこだ。

夏樹的にはみんなで旅行したかったのだが、旅行先で何かイベントに巻き込まれてまたビッグネームと命懸けの戦いをする予感しかしていないため、家でのんびりしていようと思っている。

ただ、小梅やジャックたちが、家族旅行をしたがっているのでどうしようかまだ悩み中だ。

できればビッグネームがいなさそうな宇宙旅行を期待しているが、母にどう説明すればいいのかわからないので却下だ。

なによりも、ビッグネームはいないかもしれないが、また映画三部作分のイベントが待っている気がする。

(……できればGW前に酒呑童子一派と安倍家、京都の霊能力者を壊滅させたいんだよね。あいつら自由にさせていたら、観光客に迷惑がかかる気がしてしょうがない。事情はあるんだろうけど、勇者的には喧嘩両成敗でみんな平等斬りにしておこうと思います)

基本的に京都に関しては放置をしておくつもりだった。

安倍円とはちゃんと話をしておきたいと思っていたが、酒呑童子などは関係なく、かつての友人として話をしたかった。

だが、京都から霊能力者が夏樹だけではなく、一登までを名指しして狙ってきたのだから、もう放置はできない。

面倒臭いと少しでも思ったら、その要素は潰しておいた方が安心だ。特に、霊能関係という力を持つ者や、大切な友人に脅威が訪れるのであればなおさらだ。

「あのさ」

食事が終わったタイミングで、夏樹がゆっくり口を開いた。

「俺、京都に行こうと思うんだ」

「いや、お前は学校に行け!」

「あれー?」