作品タイトル不明
73「悪いことは企まない方がいいんじゃね?」②
「な、なになになに、なにこれなにこれ」
「ぎゃぁあああああああああああ! 変なのが出てきた! 闇の世界から化け物が出てきたぁあああああああああ!」
安倍姉妹は絶叫した。
それもそのはず、彼女たちの足首を掴むのは、爛々と目を赤く輝かす髪を振り乱した女だった。
「私の一登きゅんを魅了して同人誌にもできないようなあんなことやこんなことをしようと企むなんて……ゆ・る・さ・んっ!」
――もちろん天照大神である。
「きゃぁあああああああああああああああああ! 変なおばさんがこわいこわい! 変なこと言ってる、なにこれ、なんなのこのおばさん!」
「――おば? このクソガキ! 自分のような美女を捕まえてなにがおばさんですか!? ゴスロリきてぶりっ子しやがって!」
「ななななななにが美女よ! たるんだ手足とお腹しているくせに!」
「顔は美女でしょうが! あとたるんだとか言うんじゃねえぇえええええええええ!」
「きゃぁああああああああああああああ!」
血走った目の天照大神がきららを押し倒し、覆いかぶさる。
その光景は間違いなくホラーだった。
ちなみに音叉は気絶している。
「こーんばーんはー! みんなの太陽、あーまーてーらーすーおーおーかーみーどえーす!」
「てめぇみたいなビール腹の天照大神がいるわけねえだろ! 夢みんな化け物!」
「……あ、これは傷ついた。地味に傷ついた。え、嘘? お腹ちょっとへっこんだんですけど?」
「知らないわよ! どこの化け物か知らないけど、よりによって太陽神を名乗るなんて、殺してやる!」
「いたたたたたたた、お腹を掴まないで! ちょ、痛い! 痛いっ!」
「このたるみばばぁ! 祓ってやる! とりあえず、退け! こらっ!」
「――たるみばばぁだぁ!? こんな美女捕まえて……ゆ・る・さ・ん! 京都は二度と太陽が拝めないの決定! 超決定!」
「ふざけんな! てめぇにそんな権限があるわけねえだろ! このクソ妖怪!」
「とういうか、さっきから妖怪妖怪って! こんなプリティな自分のどこが妖怪なんですか!?」
「闇の中から這い出てきやがったじゃねえか!」
「転移術を使っただけっす! そんな闇の住人みたいに見られているなんて……おしおきっすね!」
天照大神はきららの胸ぐらを掴むと、そのまま頭突きをした。
「きゅう」
「……やりますね。気絶するときまでぶりっ子とは……しっかし、月読もちゃんと仕事してほしいんですけど! いや、あの子のことだから、わざと残しましたね。はぁ。仕方がないので、水無月家に連れて帰ってから――ごうも……じゃなくて、尋問をしましょう」
どっこらしょ、と天照大神は気絶したきららと音叉を担ぐと、水無月家に戻った。
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「天照大神さまっ! この雲海! いたいけな少女を生贄にするのであるなら、この命にかけてもお止めする所存です!」
「……いや、邪神じゃないんですから生贄なんて欲してないですって」
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その後、目覚めたきららに、
「あんたみたいな樽みたいな腹をした天照大神様がいるわけないでしょう! 天照大神様はきっとほっそりした大和撫子な素敵な女性のはず」
「…………どんなにそんな天照大神になれたらいいと思ったことか」
天照大神は泣かされた。