軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

63「記憶喪失なんじゃね?」③

庭に戻ってきた夏樹は地面に向かって敬礼していた。

「ただいま、地球よ。だが、残念なことに君達の知っている由良夏樹はもういない。俺は、改造されてしまったんだ。俺は――エクスプローラーダイナミックアバンギャルドマモンマモンウルトラスーパー勇者由良夏樹として生きていく! 河童の勇者であり、聖剣の勇者であり、海の勇者である俺は――宇宙の勇者になったのだ!」

「なにを言っとるんじゃ」

「どうか悲しまないでほしい。君たちとの思い出は俺の胸の中にある。殺伐とした日々が迫る中で、それだけが救いさ」

「いや、これ処置失敗しとるじゃろ。なんか異世界の勇者が死んで宇宙勇者が爆誕してしまったんじゃが……今から、宇宙でも滅ぼしにいくんか、みたいなノリなんじゃが平気か?」

小梅が少々バグった感じの夏樹を指差し困惑顔をする。

人化したジャックとナンシーも困った顔をしている。

「おかしい……友は無事に記憶を取り戻したはずなのだが」

「もう一度、宇宙船で処置したほうがいいのでしょうか?」

「念入りにやったれ」

「冗談だよ! 夏樹くん、元気いっぱい! 記憶も無事に取り戻したし、ダークサイドにも落ちてないから平気平気!」

宇宙的処置がちょっと怖かったので愉快なことをして誤魔化そうとした夏樹は、再び宇宙船コースになるわけにはいかないと慌てる。

「んで、記憶が戻ったんなら京都のことは思い出したんじゃろうな」

「うん。でも、はっきりとってわけじゃないんだよ。一部ね」

「申し訳ない、友よ。おそらくではあるが春子殿の言うように友は怖い思いをしたのだろう。私は、そのような記憶まで思い出すことをよしとしない。場合によってはトラウマが復活する恐れもあるのだ。本来、記憶を取り戻すよりも、記憶を消すほうが得意なのだ」

「気遣ってくれてサンキュー」

ジャックの肩を叩きお礼を言う夏樹には、すべてではないが京都にいた記憶が断片的ではあるが思い出していた。

「んで、肝心なことはわかったんか?」

「うん。肝心かどうかはわからないけど、俺は京都で――鬼に襲われた」

「ほう」

「痛い思いをしたことも覚えているけど、俺には鬼に襲われたような傷はないんだ。その後なにかあったのかまではわからないけど、なにかファンタジーなことがあったんだと思う」

「……ファンタジーで片付けてええんじゃろうか?」

夏樹は敬礼を止め、暗い顔をした。

何事だ、と小梅たちの視線が集まる。

「俺さ、京都で円ちゃんって可愛い子とエンジョイしていたんだけど――円ちゃんが円くんだった件!」

「その話っ、詳しく教えてほしいっす!」

夏樹の叫びを聞きつけた銀子が、すぱーんと窓を開けて飛んできた。

残念と言うべきか、なんと言うべきか、由良夏樹は京都にいた。

そして、安倍円と友達だったことを思い出した。