軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

51「雷神様の来訪理由じゃね?」①

「痛いなぁー! 僕じゃなかったら死んでるからねー!」

光の槍と魔剣を引き抜いたリヴァイアサンは、ぷんぷん、と頬を膨らませていた。

対し、小梅と銀子は舌打ちをする。

さすが七つの大罪の魔族というべきか、上級の魔族でも致命傷を負わせるはずの小梅の光の槍と、異世界産の魔剣を喰らってもピンピンしている。

これだけで、リヴァイアサンという魔族が一般的な魔族に対し一線を画すのがわかる。

「こやつは昔からこうじゃ! 俺様の気に入ったもんにちょっかい出すんじゃ!」

「それは偶然だよー! ていうか、小梅たんだって、昔から僕のほしいもの持ってるくせにぃ!」

「がるるるるるるるるるるる」

「ぐるるるるるるるるるるる」

「いや、会話するの諦めないでくださいっす」

睨み、唸り合う小梅とリヴァイアサンに、銀子が突っ込んだ。

幼馴染みかどうかはさておき、昔から交友があるのだろう。

「……それにしても、夏樹くんも今度は七つの大罪の男の娘とか……トラブルに愛されていますねぇ。うへへ。でも、リアル男の子と男の娘っすかぁ。じゅるりっ、おっと、銀子ちゃんったらはしたない」

よだれをハンカチで拭いながら、銀子はひさびさに新刊を描きたくなった。

「ねえねえ、小梅ちゃん、銀子さん、ナンシーさん! 見て見て! 雷神トールさんにサイン貰っちゃった!」

「サインで喜んでもらえるのなら何枚でも書こうではないか!」

台所に避難していた夏樹が、色紙を片手に雷神トールと肩を組んで嬉しそうにしている。

「……ガチマッチョな北欧系のおっさんと男の娘もいいっすねぇ」

妄想の世界に羽ばたいた銀子を置いておき、小梅がリヴァイアサンから夏樹たちに顔を向けた。

「雷神トールにサイン貰って喜んでるのはええんじゃが。目の前に、ルシファーとリヴァイアサンと止めにグレイがおるんじゃがな!」

小梅の言うように、ビッグネーム中のビッグネームであるルシファーとリヴァイアサンが揃っている。

学校には月読命がいて、先日は天照大神や素盞嗚命とも出会った。魔族では、サマエルとマモンという誰もが知るビッグネームとも邂逅を果たしている。

だというのに、北欧神話の主神でもない神にテンション上げている夏樹に、少々面白くない小梅だった。

「もしかして? ゴッド系の神話の方々と北欧って仲良くない?」

「そんなことはないんじゃが。あー、じゃが、昔はどんぱちやったのう」

「ふふふ。懐かしい。どちらが人間に認知されているかゴッドと父上が口論し、そこから戦争になったものだ」

「しょーもな!」

懐かしむ小梅とトールに夏樹はつい叫んでしまった。

神話と神話がぶつかるには、あんまりにもな理由だった。

こっそり、「僕、その戦争でトールに頭蓋を砕かれたことあるんだよね」とぼそっとつぶやいているリヴァイアサンがいたがみんなはスルーする。

「つーか、雷神のトールはなにしに日本にきたのー? 夏樹きゅんはこれから僕と初夜なんだけどー」

「おっと、それは無粋なことをしてしまったようだな。すまない」

「いや、本気にしないで!」

「はははははは! 照れることはない! 強い男は性別など関係なく惹きつけるものだ。大きな愛で受け入れてやるといい」

「えー」

さすが北欧神話というべきか、懐が深かった。

「そんなんはええんじゃが、それでトールはなにしにきよったんじゃ? 話を最後まで聞いとらんかったんじゃが」

小梅の問いに雷神トールは、男臭い笑みを浮かべ歯を光らせた。

「無論、凄まじい雷を使う由良夏樹殿と戦いたく! 雷神として血が騒ぐ!」

「――え?」

夏樹はとても裏切られた顔をした。