軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

48「リヴァイアサンが来るんじゃね?」①

「あのさぁ、マジでウチくるのぉ?」

「行く行くぅ! いーじゃん。お義母様にご挨拶させてよー」

「……お義母様って言うなよぉ」

一登と別れた後、都も自宅に帰っていった。

彼女はあくまでも学校での夏樹の監視者だ。

家まで押しかけるつもりはなく、また天使、魔族、宇宙人がいて、今は魔王もいる由良家に来たらストレスで胃に穴が空いてしまう可能性があるという理由からダッシュで帰宅してしまった。

「来るのはいいけど、お母さんに余計なことを言わないようにね。そうじゃなくても、優斗が死んだことで気落ちしているんだから」

「……そだねー。知り合いが死んだところに、お嫁さんですーって言っても素直に喜べないよね。わかったー。今日は顔見せってことでー、うん」

「やだこの子、全然わかってないんだけど!?」

マイペースというべきか、人の話を聞いていないというべきか。もし聞こえた上でやりたい放題ならばタチが悪いが、魔族らしいと言えば魔族らしい。

少々困る要素はあるが、リヴァイアサンの言動は不快ではない。

良い意味で肩の力が抜ける感じがするので、きっとこれからの付き合いも苦にならないだろう。

「そういえばさー」

「うん?」

「小梅・ルシファーが由良さん家にはいるんだよねー?」

「いるよぉ。今ならサタンさんもいるよぉ」

「……サタンもいるのかー。本当に仕事しないなぁ。きっと、今ごろルシフェルちゃんがひーこらひーこら言いながらサタンと僕の分の仕事をしているんだろうなー」

「おい、お前もかよ! 仕事しろよ!」

「学校に行かない悪い子に言われたくないなー」

「お、俺の場合は不可抗力だから。すさすさとかぬらぬらとかいろいろあったんだぞ!」

俺のことはさておき、と夏樹は咳払いをする。

「小梅ちゃんがなんだって?」

「僕ってさ、嫉妬を司る魔族なんだよねー」

「そういえばそんなこと言ってたね」

「どちらかっていうと、嫉妬する魔族っていうよりも、絵に描いたような美少女な僕にみんなが嫉妬するから、嫉妬を司る魔族なんだけどー」

「はぁ」

「小梅・ルシファーは僕が唯一嫉妬する女なんだよ!」

「へぇ?」

自分のことを可愛いと言い切るリヴァイアサンが小梅に嫉妬していると言うのも興味深い。

リヴァイアサンが言うように、どちらかと言えば嫉妬を多く集めるだろう彼が小梅を名指しして「嫉妬する」と潔く言うことは好感が持てる。

夏樹の知る嫉妬とは、もっと暗く、ドロドロとしているものだ。対し、リヴァイアサンの嫉妬はカラッとしたものであった。

「どんなところに嫉妬しているの?」

「あいつ、クソ美人じゃんー!」

「そうねー」

「足も長くて髪の毛も綺麗なブロンドでさらっさら! 僕がこの艶やかな髪を維持するのに、どれだけ金と時間をかけてると思ってんだー!」

「可愛くするって大変ねー」

「本当だよ! でもさー! 僕はもともとリリス様みたいなカッコいい女の子になりたかったんだよー! だけど、どれだけ頑張ってもただの美少女にしかならなかったんだー!」

「いやいや、それは無い物ねだりじゃね?」

リヴァイアサンがリリスのような女性になれないように、リリスもリヴァイアサンのようなタイプになることは難しいだろう。

「それなのに、あの小梅ぇー! 娘ってだけで、リリスさんみたいにかっこいい系美人になりやがってー!」

「褒めてる褒めてる! ていうか、そういう意味か」

「そういう意味だよー! まあ、男の娘するなら可愛い系が一番理想なんだけどね! それはそれ、これはこれなんだよー!」

つまり、リヴァイアサンはリリスに憧れているが、どうやっても彼女のようにはなれないので、雰囲気が似ている娘の小梅に嫉妬しているということだ。

(しょーもなー! でも、気持ちは少しわかるかもね。俺ももう少し図々しくなれたら、もっと楽になれるのになぁって思うことあるし。自分のやりたいことしかしない奴を見ていると、羨ましくもあるし妬ましくもなるからなぁ)

それでも自分は自分であり、他人にはなれない。

夏樹はそのことをよく知っているので、今はあまり気にしないようにしている。

「とりあえず、家に来るのはいいけど、小梅ちゃんと喧嘩しないようにね」

「はーい!」