作品タイトル不明
47「様子を見に行くんじゃね?」③
「ま、とりあえず明日はゆっくりして、また明後日から学校に来いよ。一登がいない間に、千手さんと祐介くんと妖怪の里に行ったり、京都の霊能力者と会ったりってイベントばっかりだったんだから」
「なにそれ意味わかんない!」
「大丈夫、俺も意味わかんないから!」
イベント尽くしで忙しい日々だが、一登がいなくても変わらなかった。
夏樹としては、妖怪の里を一登も一緒に満喫したかったので、後日、みんなでまた行きたいと思っている。
「夏樹くん、明日は暇?」
「暇暇!」
「いえ、学校に来てください。月読先生にできるだけ連れてきてほしいと言われているのですけど」
反射的に暇と答える夏樹を都が嗜めるが、気にした様子を見せる様子はなかった。
「できるだけだから、平気だって。学校よりも一登の方が大事なんだからさ!」
「……仕方がないですね。明日だけですよ」
「はーい、ママ」
「はいはい、大きい息子ができましたね」
都も、兄を失ったばかりの一登の心境を考えて、夏樹のサボりにどうこう言わなかった。
「ごめんね、夏樹くん、都ママ」
「……一登くんまで、乗らなくていいですから」
「はーい」
「それで、明日何かするの?」
「うん。ちょっと海に行こうよ。ひとりで行こうと思ったんだけど、できたら付き合ってほしいなって」
「もちろん! せっかくだから釣りしようぜ! 久しぶりに、ポセイさんとも会いたいし」
「ポセイさんは冬になるとあまり出てこないからね。じゃあ、明日、約束だよ!」
「おう!」
夏樹と一登は拳と拳をぶつけた。
「あ、ごめん。お母さんから帰ってこいって。まだ親戚がいるんだけど、面倒臭いんだよね。酒も入ってるし」
「葬式あるあるだね。結構、口汚い人もいるからさ……気が滅入るよ」
さすがの夏樹も、三原家に乗り込んで親戚をぶっ飛ばすほど良識がないわけではないので、残念ではあるが一登には我慢してもらうしかないのだろう。
代わりに、明日は思い切り付き合おうと思う。
「一登くん。天照大神さまもとても心配していました。少し元気が出たら、ぜひ水無月家に遊びに来てくださいね」
「……都さん、ありがとう。天照大神さまにもお礼を言っておいてください」
「言っておきますね。でも、少し時間があれば、直接連絡してあげてください」
「あ、そうだった。連絡先を知っているんだよね。でも、迷惑じゃないかな? 太陽神様で、土地神としてもお忙しいでしょう」
「全っ然問題ありません!」
「……それはそれでどうなんだろう。うん。でも、気にかけてくれているのなら、お礼を言います。さまたんからも気遣ってくれるメッセージが来ますから」
さまたんの方が一歩リードか、と夏樹は内心考える。
だが、天照大神のアドバンテージは近所であるということだ。
さすがに青森にいたら、頻繁に会いにくることは難しいだろう。
「夏樹くん、都さん、今日はありがとう。少しだけしか時間が取れなかったけど、会いに来てくれて嬉しかったよ。あと、リヴァイアサンも今度また!」
「いつでも呼んでくれ! なんならウチにおいで!」
「私も同じく。いつでも歓迎します!」
「ういー! 今度はうまいもんでもたべよーぜー! 奢ってあげるからー!」
「ありがとう!」
お礼を言って一登は手を降り、公園を後にした。
「……少し空元気でしたね。やはり問題のある方でもお兄さんを亡くしたんですから、辛いですよね」
「そうかもね。俺にはわからないけど、一登が元気になってくれるように助けになってあげたいな」
夏樹と都は、一登が本当の意味で早く元気になりますようにと祈る。
そして、公園を後にした。