軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

45「様子を見に行くんじゃね?」①

由良夏樹は雷神トールの待つ家――ではなく、幼馴染みで親友の三原一登と近くの公園で待ち合わせをしていた。

この場には、水無月都と七つの大罪の魔族リヴァイアサンことリヴァ子もいる。

夏樹は一登のことを気にかけていたが、簡単なメッセージだけで過度な心配はしなかった。時には、放って置かれたほうが気が楽だということを知っているからだ。

対し、都の背後にいる天照大神は、兄を失っている一登のことが気が気ではないようだ。

弟をついでに殺そうとした兄に対し、そこまで気落ちするか夏樹としては疑問であるが、血を分けた兄弟がいないので、想像ができない。

聞けば、天照大神は神の力を使って一登の様子を伺おうとしたのだが、それは『覗き』と同じことであり、神としても一線を超えてしまうようなので悩みに悩んで懊悩していたという。

結局、欲望に負けて覗き見しようとしたらしいのだが、雲海老人の平手打ちによって正気を取り戻したという。

その後は、「心配」の気持ちを邪魔する「煩悩」を消し去るべく、ダイエットをしているようだ。

「で、代わりに都さんが一登の様子を見にきた、と」

「はい。お姉ちゃんも本来なら同行する予定でしたが、知らない人が来ても一登くんも緊張するだろうと思い、夏樹くんだけを誘おうとしたのですが……」

「思いがけず変な魔族がいた、と」

さすがに都も「はい」とは言わなかったが、なんとなく雰囲気が夏樹の言葉を肯定していた。

「変な魔族ってなにさー! もー、ぷんぷん!」

シーソーに乗って一人で遊んでいたリヴァ子が頬を膨らます。

あざとく怒った真似をするリヴァ子は可愛らしいのだが、慣れたのか苛立ちのほうが強くなってきた。

「――っ、さすが登録者数百万人越えの動画配信者ですね。女の子ならあざとくてうざいはずが、男の娘なら自然体。むしろ、あえてやっている感がたまりません」

「……都さんって、最初に会った時とだいぶ変わったよね。もしかして、繋ぎ方が悪かったかなぁ?」

「私はもともとこんな感じです! 以前は失礼な態度をとったことは反省していますが、あの頃はぴりぴりしていたので、その!」

リヴァ子を分析する都に突っ込む夏樹に、彼女は頬を赤くした。

かつては張り詰めた雰囲気を通り越して、周りをすべて敵視していたような都であるが、今の彼女の雰囲気はゆるゆるだ。

友人としては、今の彼女のほうが好ましくある。

「おーい、夏樹くん! お待たせ!」

そうこうしていると、公園に学生服姿の一登が現れた。

「よう」

「うん」

難しいことはなにも言わず、夏樹と一登は拳と拳を重ねた。

「あれ? 水無月さん?」

「こんにちは。どうぞ、都と呼んでください。この度は、お兄様は残念でした」

「うん。ありがとう」

「ごしゅーしょーさまでしたー?」

「ありがとうございま――え!? どちら様!?」

礼儀正しく挨拶をする都と、軽く手を挙げて使い慣れていない言葉を言い放つリヴァイアサン。

一登は都にお礼を言い、続けてリヴァイアサンに頭を下げようとしたが、ここでようやく見ず知らずの人がいることに気づいて驚いた顔をした。

しかも、リヴァイアサンはこの間にもシーソーを一人でぎったんばっこんとやっているのだ。本当に「どちら様!?」という感じだった。

「ふははははは! 問われたのであれば、答えようではないかー! 我は魔界の幹部も大幹部! おそらく四天王最強くらいの感じのポジションで踏ん反り返っているはずの、七つの大罪の嫉妬を司る魔族! リ・ヴァ・イ・ア・サ・ンでーす!」

「……濃いなぁ」

「ちなみに、くっそ美少女にしか見えないけどー、僕は男の娘でーす!」

「なん、だと!? 外見小柄なあざと系美少女なのに、僕っ子男の娘、だと!?」

夏樹もそうだったように男の娘と遭遇した一登のテンションも高かった。