軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「まさかの動画配信者じゃね?」

青森のとある古民家で、七つの大罪の魔族マモンと、サタンと魔王の座を賭けて戦った過去がある魔族サマエルが仕事終わりののんびりした時間を過ごしていた。

「あの、さまたん様まもんまもん」

「……お前、ついにサマエルって呼ばなくなったな。まあいいけど、それでタブレットと睨めっこしてどうしたんだよ」

今日は、動画編集を終わらせたので、サマエルはアスパラのベーコン巻きをおかずにハイボールを楽しんでいた。

アスパラのベーコン巻きは、塩で軽く下味を付けた後に、ブラックペッパーを多めに振りかけることでスパイシーな仕上がりにしている。

ハイボールは、先日マモンを警察署に迎えに行った帰りにちょっと寄った雑貨店で購入した触れるのが怖いほど薄いグラスにたっぷりの氷を入れて、動画収益で買った六千円もする十年物のウイスキーを贅沢に炭酸で割っている。

「ごっごっごっ、かーっ! たまんねえ! スパイシーにはスパイシーが合うな!」

今日は汗をたくさんかいたので塩気と味の濃いつまみが身体に染み渡っている。

「最近、ウイスキーが高騰してるけど、動画収益のおかげでいい酒が飲めてなによりだ」

「……まもんまもん。仮にも魔界の半分を支配していた大魔族であるさまたんが……まもんまもん六千円のウイスキーをいい酒ですか……まもん、いいお酒であることは間違い無いのですが、魔界で上から数えた方が早いほどまもんまもんな大魔族であるさまたん様には、やはりホストが上客に飲ませるような高い酒をまもんまもんしていただきたく」

「んな金ねえよ! 千円のウイスキーだって、最高じゃねえか! 安かろうが高かろうが、それぞれ違ってみんないいんだよ!」

「――っ、さすがさまたん様! 深いまもんまもんですね! では、差し入れしようと思っていた俺の隠れ家にある十八年ものや二十五年ものはまたの機会に」

「待ちたまえ。親愛なる部下の差し入れを受け入れないなんてことはしない! もってこい! 私、いつか動画収益で蒸留所建てるんだ!」

「……そんなに稼げるようになった時には、俺も魔界に帰ってまもんまもんできるでしょう」

そんなやりとりをしているものの、サマエルもマモンも魔界に金銀財宝を山のように持っている。

「んで、タブレットを離さないけど、なんかあったのか?」

「……まもん。実は、さまたんチャンネルの登録者と再生数を伸ばすために人気の動画配信者の動画を見て勉強していまもんまもん」

「ほう」

「問題なのは、こちらの動画なのですまもん……」

「うん? 問題って、なにが――げ」

『僕っ子小悪魔リヴァ子ちゃんチャンネルはーじーめーるーよ!』

タブレットの中には、マスクを着けても美少女であるとはっきりわかる少女が楽しそうに配信していた。

おそらくライブ配信なのだろう。コメント欄は大盛り上がりである。

しかも、チャンネル登録者は百万人を超えている。

「こいつリヴァイアサンじゃねーかぁあああああああああああああああああああああ!」

「七つの大罪の魔族の中で、一番フリーダムまもんまもんなリヴァイアサンがまさかこれほど人気者だったとは……感服まもんまもんです!」

「いやいやいやいや、こいつ男だぞ!」

「些細な問題でまもんまもん」

「マジかよ!? そっかー、女装している海獣でもこんなに人気がでるのかー! すげえな人間!」

「まもん……人間というよりも日本人が少々変わっているのではないでまもんまもん」

ショックを受けているサマエルに対し、マモンはリヴァイアサンとコンタクトをとって動画配信者としてのアドバイスをもらおうと思っていた。

必要であれば、女装することも厭わない、と。

――やっぱり青森は平和だった。