作品タイトル不明
34「イベントが無くね?」②
「……何をしているんですか?」
「聞いてよ、都さん。イベントさんったら、毎日のように俺に慌ただしい日々を送らせたくせに、もう用無しだってばかりにイベントがないんだ。俺は、もうイベントなしじゃ満足できない身体になっちゃったのに」
「頭大丈夫ですか?」
「普通に心配されちゃった!」
「とりあえず立ってください。視線を浴びているんですけど……無関係なのに私まで恥ずかしいです」
腕を引っ張られた夏樹はとりあえず立ち上がる。
「……ここだけの話、先生たちが心配していますし、男子生徒も夏樹くんが来ているかどうか教室を伺いに来るんですから、たまには元気な姿を見せてあげたほうがいいですよ」
「うん」
「さ、行きましょう」
「うん」
どれだけ駄々をこねてもイベントが発生しないと悟った夏樹は、都に引っ張られながらとぼとぼと校舎に入っていくのだった。
スニーカーから上履きに履き替えると、なぜか夏樹を睨む生徒三人と出会った。
「ちょっと、邪魔です」
「水無月は引っ込んでろ。俺は、由良に話があるんだよ」
「なになに? もしかして、異能力を持つ同級生が学園バトルを仕掛けて――」
わくわくしながら少し柄の悪そうな生徒ににこやかな笑顔を向ける。
「てめぇ、バスケ部のことチクっただろ。せっかくタダでやらしてくれる女がいたのに余計なことしやがって」
「すっげー、萎えた」
「バスケ部がてめぇのこと恨んでるぜ。俺たちもだよ。どう責任取るんだよ、ああ?」
「勇者キック――微弱」
「ほぐわっ」
よくわからない理由で絡まれた夏樹は、精神的にダメージを受けたということから正当防衛として生徒の股間を蹴り上げた。
股間を押さえてその場にうずくまる男子生徒。
「由良ぁ! まーくんになにしてんだよ!」
「勇者パンチ――ほんのり」
掴みかかってこようとした生徒の股間を蹴り上げる。
最初の生徒と同じように股間を押さえてうずくまった。
「お、お前……容赦なさすぎだろ」
「勇者チョップ――春の香りを添えて」
後退りをする男子生徒の股間を蹴り上げると、やはり股間を押さえて崩れ落ちてしまった。
「……全部キックじゃないですか」
「そういうこともあるんです。それにしても――やっぱり学校ってつまんね。帰っちゃおうかな」
「駄目ですよ。天照様経由で月読先生から、夏樹くんを教室に連れてくるように言われているんですから」
「先生……見張りをつけるなんてひどい」
「ほら、早く行きましょう」
都に引き摺られて階段を上がると、三階の三年生の教室にたどり着いた。
「実は、まともにクラスメイトが誰だか覚えていない件」
引き戸を開けると、クラス中の生徒の視線が夏樹に突き刺さった。
「あ、お腹痛くなってきた」