軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

22「ぬらぬらとお話しじゃね?」

「よう、なっちゃん。せんちゃん。ゆうちゃん。楽しんでるかい?」

「あ、ぬらりひょんのおじ――じゃなくて、お兄さん」

「じいちゃんでいいよぉ」

千手と一緒に団子を楽しんでいた夏樹に、ぬらりひょんが軽く手を上げて近づいてきた。

彼の手にはビールの入ったグラスが持たれていて、ほんのりと頬も赤い。

そして、安倍円の前で若返ったままの姿だった。

「ぬらりひょんは今と、じいさんの姿とじゃ、どっちが本性だ?」

「どっちもだねぇ。昔は、気持ちも若かったからこの姿でブイブイ言わせてたんだが、精神的にじじぃになったら外見もじじぃにしておくほうが楽でよ」

「そんなもんかい」

「そんなもんさ」

千手の疑問に、笑いながらぬらりひょんが答え、ビールを飲んだ。

「にしても、まさかなっちゃんたちを呼んだ日に、京都から安倍一門が来るとは思わなかった。巻き込んじまって申し訳ねえ」

「気にしなくていいよ。むしろ、いてよかった。妖怪さんたちに被害もなかったし」

「そこは本当に感謝しかねえ。遠野の妖怪たちはあまり強くねえんだ。いや、強い妖怪もいるんだが、そういう奴らはもっと山奥にいるんでな。こっちに顔を出しやしねえのさ」

「じゃあ、安倍さんたちもハズレだったってこと?」

「そんなところでい。ま、その言い分を信じてくれるかどうかが問題だったんだけどなぁ」

安倍円の雰囲気から、ぬらりひょんたちと会話を試みることはしなかったはずだ。

夏樹は、京都の鬼たちに関して聞いてみたかったが、その質問をしていいのか悪いのかわからなかった。

そんな夏樹の心中を読んだように、ぬらりひょんから話をしてくれた。

「京都の鬼どもは……今の時代に適応していねえんだわ」

「どういうこと?」

「遠野の妖怪にも人間においたをする妖怪はいる。だが、そんなことしても今の人間には大したことにはならねえ。そりゃ、人間を殺したり、食ったりすれば、大問題だ。警察は探すだろうし、霊能力者たちも動くさ。俺らはそれをよしとしなかった。時代に合わせて、静かにのんびり暮らして、たまになっちゃんたちみたいな面白い人間と関わっていればそれでいいのよ」

「でも、京都の妖怪っていうか、鬼は違うってこと?」

「そうよなぁ。京都に住まう上位の鬼からすれば、人間は餌でしかないのよう」

やっぱりそうか、と夏樹は頷く。

遠野の妖怪たちと京都の妖怪はまるで違うのだと理解した。

「俺たち遠野は、なんだかんだと人間が好きなんだが、京都の鬼どもは人間がいなくなればそれはそれでいいと思っていやがる。仮に、霊能力者に滅ぼされても、それは弱い鬼が悪いんだから知ったことじゃねえ。享楽的に生きているのが京都の鬼どもだ。遠野にも鬼はいるが、あそこまで節操なしじゃねえよ」

「もしかして、京都の鬼と会ったことがある?」

夏樹の質問に、苦い顔をしてぬらりひょんが頷く。

茣蓙の上にあったビール瓶を手に取り、グラスではなく直接口につけて一気に呷る。

「ぷはぁ。鬼どもとは時代の流れに関して話をしたときに、結局喧嘩になっちまってねぇ。ガチで殺し合ったんだが、おじちゃんたちの負けよ。九尾殿が間に入ってくれなかったら、おじちゃんここにいないかもしれないねぇ」

「――九尾!」

九尾という言葉に、酔っ払ってうとうとしていた祐介がくわっと目を見開く。

「九尾というのは、お狐様ですか?」

「あ、ああ」

「重要なことなので、お答えいただきたいのですが、九尾の狐は――ロリ枠ですか? 熟女枠ですか?」

「ゆーすけくーん? なんでその二択なの? 足の長い綺麗なお姉さん枠もあるかもしれないじゃん!」

「いや、銀色に光り輝く姿をしている可能性もあるぜ!」

「それは夏樹くんの趣味じゃん! 千手さんに至っては、もうそれは妖怪じゃないよ!」

覚醒した祐介が魔力を放出してぬらりひょんに詰めよる。

若干たじろいたものの、ぬらりひょんは返事をした。

「今はどうだか知らんが、おじちゃんと会ったときはロリだったぜ」

「――しゃおらぁああああああああああああああああああああ!」

「うわぁ、祐介くんの何がいったいここまでさせるんだろう?」

「俺にはわかるね。きっと佐渡は、異世界から帰還してから初めての絶叫ガッツポーズだ」

何はともあれ、祐介が元気を取り戻したことに、よかったよかった、と頷く夏樹たちだった。