軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「魔界で会議じゃね?」①

魔界。

魔王サタンは、久しぶりに魔族の幹部たちが集まる会議に出席をしていた。

魔界を統一した後、魔界への興味を無くして本人曰く「引退」となっていたのだが、今回は議題が議題なため、白いスーツを着て会議に参加していた。

会議の場にいるのは、七つの大罪を司る魔族の他に、七十二柱の名のある悪魔たち、戦闘や特殊能力で秀でた魔族たちが集まっている。

サタンを上座に、七つの大罪が円を描くように着席し、その後ろに七十二柱の悪魔たち、そして名のある悪魔たちが上段の席に座っている。

今回の会議は、数年ぶりに魔族の幹部や爵位を持つ魔族が集まる大掛かりなものだ。

さらにサタンも千年ぶりに会議に参加すると言うことで、緊張が集まっていた。

サタンさえ興味を持つ今回の議題は――由良夏樹に関してだった。

「よし、会議を始めるぞ。議題は、由良夏樹の扱いだ」

サタンの言葉で会議が始まる。

サタンの息子であり、七つの大罪の一柱であるルシフェルが起立し、会議を進行していく。

「我々魔族は実力主義だ。人間の由良夏樹を議題に上げるのはどうかと思う魔族もいるだろう。情報不足の愚か者に、簡単にだが説明してやろう」

ルシフェルは、夏樹たちにこそ人当たりがよかったが、基本的に魔族に対しては上から威圧的に対応している。

「由良夏樹は――マイエンジェル小梅ちゃんの将来の夫だ! 手を出したらぶっ殺すからな! わかったな、ああん?」

「ステイステイ、ルシフェルちゃん。一番、真面目なはずのルシフェルちゃんがいきなりキレちゃってどうするのかな!?」

口汚く魔族たちを威圧するルシフェルを諌めたのは、黒髪をショートボブにした少女に見える存在だった。ミニスカートから覗く足にはピンク色のハイソックスを履いている。上半身はどこかのキャラクターが描かれたTシャツと薄手のパーカー。可愛らしい容姿を持つ存在の目元には星の模様が刻まれている。

「……リヴァイアサン。すまない、つい興奮してしまった。しかし、お前……なぜそのような格好をしている。サタン様でさえ、それちょっとどうなのって感じではあるが白スーツを着用しているのに、まさか普段着でくるとは」

「……待って、待ってマイサン。今、俺のことディスった?」

「直前まで召集があるなんて知らなかったんだもん。ちゃんと正装する時間があれば、人間界から輸入したセーラー服を着てきたのに」

「女学生の服をなぜお前が着る。私の記憶が正しければ、お前は男のはずだが?」

「あれ? 無視? サタンのこと無視? 魔界の王を無視?」

「えー。だって可愛いじゃん!」

「男だから男の格好を、女なら女の格好をしろなどとこの時代に言うつもりはないが、セーラー服は正装ではない!」

「あれ? でも、日本の学生は冠婚葬祭で学校の制服着るんでしょう?」

「ここは冠婚葬祭を行う場ではない!」

嫉妬を司る魔族リヴァイアサンは、小柄な少女のような外見をしているが、実は少年だった。

俗に言う、男の娘である。

そもそもその本性は龍であるのだが、彼の見かけからはあまり想像できない。

しかし、そんなリヴァイアサンも、ルシフェル同様に上から数えた方が早い実力者である。

「ルシフェル、リヴァイアサン、お前たちのことなど微塵も興味がない。それよりも、マモンがその少年に敗北したと聞いたが、事実か?」

「――ベリアル」

ルシフェルとリヴァイアサンの会話に割って入ったのは、長い足を組んで座る、美しいブロンド髪を持つ青年だった。

彼の名はベリアル。

かつては天使であり、ルシフェルやミカエルと同等の天使だった。

現在は堕天し、爵位を持つ貴族として魔界で領地を持っている。

ベリアルは、目を瞑り、続ける。

「事実なら、殺すべきだ。マモンは気やすい魔族だったが、人間に負けたのであれば恥じ、自死するべきだ。できぬのであれば、引導を渡してやるのが同じ魔族としての務め」

「マモンが敗北したのは事実だが、安心しろ。どうせ貴様も由良夏樹と戦えば敗北する」

「――なに?」

「興味を持って欲しくて言っているわけではなく、マモンを庇っているわけでもない。だが、事実だ。私は親切な魔族であるがゆえに、一度だけ言ってやる。死にたくないのなら、情けなく敗北したくないのなら、由良夏樹には関わるな」

「ふむ。ルシフェルがそこまで言うのならそうなのかもしれない。だが、いいのかね?」

「なにがだ?」

「君がそこまで褒めた由良夏樹に興味を持たない魔族は――逆にいないと思うのだが?」

「え?」

ルシフェルが、周囲を見渡すと、サタンは「あちゃー」って顔をしている。リヴァイアサンは「え? わざと煽ってたんじゃないの?」と首を傾げていて、他の悪魔もベリアルに同意するように「うんうん」と頷いていた。

「……もしかして、私……やっちゃいました?」

青い顔をして、ルシフェルが尋ねると、やはり一同が「うんうん」と頷いたのだった。