軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

50「ざまぁ日和じゃね?」②

「昨晩は迷惑をかけた。今日はよろしく頼む」

「こんにちは。夏樹くん、青山さん、ルシファーさん」

神奈征四郎と佐渡祐介が、待ち合わせていた近所の公園で夏樹たちを出迎えてくれた。

「……君は本当に中学生だったんだな」

「あははは、現役中学三年生です!」

制服姿の夏樹を見て、征四郎は驚きを隠せないようだ。

素盞嗚尊と笑いながら戦った人間が、年若いと思っていたとはいえ、まさか中学生とは、なかなか思うまい。

「よう、由良。青山と、天使さんもどうも。あれ?」

「どったの?」

「――主がおられないんだが?」

きょろきょろ、とジャックを探すのは七森千手だ。

かつてナンシーを捕らえて解剖しようとした人間の護衛をしていた経緯があるが、今は、ジャックを神として信仰している。

また一登に続いて宇宙で大暴れした数少ない人間でもあった。

「ジャックは、昨日宇宙でいろいろやったせいで、親父さんに怒られているよ」

「……なんてこった。代われるものなら代わって差し上げたい」

千手は、その場に膝をついて十字を切った。

それは違くね、と言おうと思ったが、いろいろ面倒くさくなりそうなのでやめておいた。

「……夏樹くん。どうして七森千手はジャックさんを信仰しているっすか? 聖者みてーにいい宇宙人であることは、反論しないっすけど、七森の奴は正直きめーっす」

「いろいろあったんだよ。そっとしておいてあげて。はしかみたいなものだから」

「まあ、いいっすけど。関わると、面倒臭そうっすし」

銀子からも面倒くさくなりそうと思われているあたり、今の千手は少々「あれ」だった。

「んで、俺様は、ざまぁ、するのを楽しみにしていたんじゃが、これで全員か? 蓮はどうしたんじゃ?」

「実は――」

昨晩の出来事に関わっていた面々で、蓮だけがいないことを小梅が尋ねると、祐介が教えてくれた。

携帯電話を持っていない蓮を誘うにはどうするべきかと悩んだ祐介だったが、千手が居場所を知っていたので、アルフォンス・ミカエルの店に押しかけると、「うちの蓮に変なこと教えるんじゃねえ!」と怒られたそうだ。

蓮も、日中は料理の修行があるとのことで、残念そうだが、参加できないとのこと。

「アルフォンスも融通が利かんのう。まあ、蓮のためになるのなら仕方がないんじゃが。さてさて、小梅様的にはそろそろ、ざまぁ、が見たくてうずうずしておるのじゃが――神奈さん家はどこにあるんかのう?」

「……向島市からだと電車を使わないとならない。なんせ、田舎だ」

征四郎がそう言うと、スマホでマップを表示していた。

ふむふむ、と夏樹、小梅、銀子が征四郎のスマホを覗き込んだ。

「……電車代が結構かかるなぁ」

「いや、そのくらい俺が出すが」

「時間もかかるのう……ざまぁ、が遠のいてしまうんじゃが」

「ざまぁ、不足で倒れるかもしれないっすね」

「あの、ざまぁ、ってさっきからなんなのだろうか?」

征四郎がなにやら不安そうな顔をしていると、小梅が「よし!」と頷く。

「残念じゃが、電車に乗って駅弁食べて観光するのは今度じゃな。面倒ではあるが、サービスじゃ」

小梅は全員を手招きし、自分に近寄らせると、純白の翼を広げた。

ばさり、と音がした次の瞬間。

一同は、田園が広がる田舎にいた。

「は? え? ちょ?」

武家屋敷という言葉がぴったりな大きな屋敷が目の前にあり、夏樹たちは目を白黒させる。

「――我が家だ」

征四郎の呟きに、小梅が一同を一瞬にして運んでくれたのだとわかった。

「ふう、疲れるが面倒なのよりはええじゃろう。今回だけじゃからな」

「ありがとう、小梅ちゃん!」

「さすが小梅さん! 天使の中の天使っすね!」

「そうじゃろそうじゃろ、感謝するとええぞ!」

祐介、千手、征四郎も小梅に礼を言った。

そうこうしていると、屋敷の中から人が出てきてしまった。

「お前たち、ここでなにを――征四郎様!?」

「……久しいな」

「お戻りになられたのですね! 今、奥様をお呼び致します! ささ、中へ! 一同、征四郎様がお戻りになるのを首を長くしてお待ちしておりました!」

現れた人間は、心から征四郎を歓迎しているようだった。

次期当主は弟のようだが、それでも征四郎が慕われているのがわかる。

使用人の勢いで屋敷の中に招かれた一同。

使用人の青年は、征四郎の母を呼びに行ってしまった。

「……さて、どうするべきか。俺は絶縁された身なので、勝手に家の中を歩き回ることはしないほうがいいと思うんだが」

征四郎が悩み、夏樹たちもどうしようか、と作戦会議をしていると、

「――征四郎様! お待ちしていました!」

着物を着た女性が小走りでやってくると、征四郎に抱きついたのだった。