軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3「ついにゴッドと会うんじゃね?」③

「は? なんで?」

「いえ、夏樹くんが唯一の神だった魔神を殺してしまったので、あちらの世界は放置状態なんです。それもひとつの選択としてアリなのですが、こちらのシマを荒らしておいて詫びも謝罪もない状態ですから、いえ、できないんですけど、でもほら、売られた喧嘩は買っておいた方がいいかなと」

「隣人を愛さないんですか!?」

「……遠い管理外の別世界を隣人とは呼べませんねぇ」

夏樹的には、思い入れもなにもなく、滅んだほうがいいとさえ思う異世界だが、それはあくまでも人間側の話だ。

魔族が人間のように腐っているかはわからないし、生きている生物たちをすべて滅ぼしたいとは思わない。

「正直なことを言うと、異世界の人間は滅んじまえって思いますけど、世界丸ごと滅びろとかは……もうどうでもいいかなって」

「試すようなことを言ってしまい申し訳ございません。ゴッドジョークでした」

「へ?」

「小粋なジョークだったはずが、ちょっとウケなかったようですね。ゴッド的には、いいですねーっと肩組んで滅ぼしに行こうとして、いやいやありえねーだろ、と突っ込まれるまで想像していたんですが」

「ジョークの割に重いよ! ゴッドという存在の発言に気をつけて!」

内心ほっとした。

今さら異世界に関わりたくないし、足を踏み入れたくない。

勝手に滅びる分ならいいが、知らないところでやってくれというのが素直な感想だった。

「君は聞きたくないと思いますが、知っておくべきだと思うので勝手に話させてもらいますね」

「……はい」

「あちらの世界の七割は魔王の支配下になりました」

「早ー!」

「いえ、時間の流れがあるので、二十年くらい経っているでしょう。君を地球から召喚した人間というか国ですが、滅んでいます」

「うわー」

「君の知る王家の人間などは、君の帰還後すぐに好き勝手やろうとして失敗し、反逆されて殺されていますね。あまりこういうことを言いたくありませんが、魔族が支配した方が世界としては永らえるでしょう」

二十年で世界の七割を支配した魔王たちには驚いたが、夏樹を召喚した人間たちが殺されていることは驚かなかった。王家の人間は慕われるタイプではないし、その下にいた貴族たちも自分たちが良ければいいという性格だったので、十分に予想できる。

一緒に滅ぼされた人たちを憐れ――もうと思ったが、異世界の人間は貴族平民関係なく大半の性根が腐っていたので、まあいいや、としか思わない。

国が滅ぼうと、王族が死のうと、今さら夏樹の気は晴れないし、過去は消えない。

だが、いつか魔王が良い世界にしてくれるなら、それでいいと思っている。

「さて、異世界の話はこのくらいにしましょう。あちらの世界が今後どうなるかは、厳しい言い方をすると我々には関係ないことですから」

「そうですね」

「ただ、ひとつだけ、君にお願いしたいことがあります」

「……貸しいちですからね。できる範囲なら、できる範囲なら!」

「はははは。警戒せずとも、無茶を言ったりはしませんよ。私のお願いは――夏樹くんの後にあちらの世界に召喚されてしまった、とある青年の話し相手になってほしいだけです」