軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2「ついにゴットと会うんじゃね?」②

「……えー」

ゴッドがアイドルを自称したので、夏樹は思わず変な声を出してしまった。

「ほう。私を前にそのような反応をしたのは君が初めてです」

「あ、すみません。馬鹿にするとかそういうわけではなく、ゴッドはゴッドじゃん? って思いまして」

「いえいえ責めているわけではないのです。新鮮だな、と」

「はぁ。あ、ごめんなさい。俺は由良夏樹です。はじめまして。小梅ちゃんと仲良くさせてもらっています! サタンさんやルシフェルさん、アルフォンスさんとミカエルさんにもお会いしました」

「そのようですね。彼らは君にとっていい出会いだったでしょうか?」

「――はい!」

はっきり返事をした夏樹に、相変わらず後光が眩しくてなにも見えないゴッドが柔らかく微笑んだ気がした。

「ならば何よりです。小梅ちゃんのことをよろしくお願いしますね。太一郎も一心も少々過保護なため小梅ちゃんは結婚どころか、良い人がいなかったのです。夏樹くんのような子が寄り添ってくれるのなら、ゴッド的にも安心です」

「が、頑張ります!」

小梅とは仲良くしていきたい夏樹は、背筋を伸ばした。

中学生なので気が利いたことが言えず、内心反省する。

「はい。――さて、夏樹くんをお呼びしたのにはいくつかの理由があります。ですが、その前に、こちらばかり話をするのもよろしくないので何かゴッドに訊きたいことはありませんか?」

きっとゴッドは夏樹に機会をくれていると思った。

夏樹は遠慮せず、お礼を言ってから尋ねた。

「ありがとうございます。では――なぜ俺が異世界に召喚されたんでしょうか?」

ゴッドは言葉に詰まることも、驚くこともなく、夏樹の問いかけに答えてくれた。

「このような言い方をすると君は嫌かもしれませんが、理由はありません」

「え?」

「異世界の聖剣に選ばれた、それもひとつ。もともと勇者だった、それもひとつです。しかし、君は勇者として世界を救うことを求められて、救いましたか?」

「いいえ」

「そもそも君を異世界に召喚したのは人間です。向こうの世界の唯一の神は無関係です」

「じゃあ、なぜ」

「その理由は――きっと、君のこれからの人生の中で見つかるでしょう」

「……どういう?」

「運命、という言葉がありますが、君の運命は決まっていません。未来は常に不確定なのです。君が異世界に召喚され人間でありながら変異することなく強力な力だけを持って帰還した。これは奇跡のような話です。その力を持つことで、君がいつかよかったと思えることがあったとしたら、そのために君は大変な思いをしたのでしょう」

「よかったと思えなかったら?」

「そうですね。その時はいったい、何が理由だったのか一緒に考えましょう」

ゴッドの答えは曖昧で、夏樹が望んでいたものではない。

だが、いつかどこかで勇者の力を持っていてよかった、と思える日が来るといいと思う。

「いや、もう俺は勇者の力を持っていてよかったって思いました」

「ほう。興味深い。聞かせてくれますか?」

「みんなに出会えました。小梅ちゃん、銀子さん、ジャックとナンシー、サタンさん、ルシフェルさん、アルフォンスさん、ミカエルさん、月読先生と天照大神様。水無月家の人達と、さまたん、マモン、蓮くん、そしてゴッドとも」

「――君は想像していたよりも素敵な少年ですね」

ゴッドは相変わらず後光が鬱陶しいほど眩しいが、微笑んだ雰囲気は伝わってきた。

「……とてもいい話をお聞きしたのに、こんなことを言うのは非常に心苦しいのですが――よろしければ夏樹くんが召喚された異世界を私と一緒に滅ぼしに行きませんか?」