軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

71「絶対知ってるビッグネームじゃね?」

「でも、まさかさまたんにお会いできるなんて嬉しいです。こんな時じゃなければ、もっとはしゃげたんですけど」

「私もかずたんと会えて嬉しいよ。だが、その、兄君は残念だったな。お悔やみを申し上げる」

「……ありがとうございます。でも、兄貴が選んだ結果ですから」

水無月家の茶の間を借りて、天照大神を始め、小梅、銀子、一登、サマエルがお茶を出されて一息ついていた。

水無月家の面々は、マモンから手渡された今まで蓮が裏家業で処理してきた人間や悪魔、悪霊などが記載されている書類の裏取りをしている。

マモンは、蓮の今後を考えて、斡旋していた人間を殺した際に資料を奪っていた。

蓮の処理してきた人間はそれなりの数がいるが、同じくらい救ってもいる。処理した者ははぐれ霊能力者や、はぐれ霊能力者の斡旋者、霊能という知られていない力で敵対者を処理しようと企んだ人間など、基本的に悪人ばかりだった。

無論、だからといって人の命を奪っていいことにはならない。

しかし、小林蓮は幼い頃に両親に捨てられ、生きるためになりふり構っていられなかったこと、悪意ある人間にいいように利用されていたことも考慮しなければならない。

蓮の両親も、いくら子供が規格外の霊能力を持っていたからといって、物のように捨てることは倫理的に間違っている。

蓮を罰しなければならないが、蓮に汚れ仕事を押し付けた人間、そして蓮の両親にも責任を取らせなければならない。

「兄が目の前で死んだのだ。今はそうでなくとも、後で感情が溢れてくることもあるだろう。マモンがやったわけではないが、関わっていたのは事実である以上……私にその権利があるかわからないが、言いたいことがあればいつでも聞くし、泣きたい時は胸を貸そう」

サマエルはそう言うと、自分の連絡先を一登に渡した。

「ありがとうございます、さまたん。じゃなかった、サマエルさん」

「ふふふ、さまたんで構わないよ。かずたん」

そんなやりとりを見ていた天照大神は、一登が来るということで神らしい衣装に着飾っているのだが、彼女の表情は嫉妬に溢れ、歯をぎりぎりと食いしばっている。

「……小梅さん、銀子ちゃん、なんですかあれは。さまたん、かずたんなんてまるで新婚さんのように。なーにが、胸を貸すですか。あなたの胸の膨らみなど慎ましいじゃないですか。一登くんを受け止めるのであれば、この豊満なボディーの自分こそ!」

「おどれの場合は、胸ではなく腹で受け止めるんじゃろうがな」

「任せてください。最近じゃ、お腹も胸くらい――って、何言わせるんですか!」

「ノリのいい奴じゃなぁ」

「今、無理やりお腹へっこませているんですけど、余裕なくなるとすぐに出てきちゃうんで、余計なツッコミさせないでください!」

天照大神は、お腹を押さえながら小梅に抗議した。

幸いなことに、サマエルと一登は天照大神たちの会話を聞いていない。

「天照大神さんも動画配信したらどうっすか? 太陽神だけど喰っちゃ寝してたら太ったのでダイエットしてみる、とか」

「炎上するに決まっているじゃないですか! 外歩けなくなりますよ!」

「外歩かんじゃろう!」

「ひひひ。ですよねー。いやいや、違います。私は決めたんです。このわがままボディーから小梅さんみたいなスレンダーボディーへ変貌すると!」

天照大神の宣言に、小梅と銀子は彼女の身体をじいっと見てから切り捨てた。

「無理じゃろ」

「無理っすね」

「酷すぎます!」

しくしく泣き始める、天照大神を無視して小梅と銀子は話を続けた。

「マモンはクソ親父がなにかしらするじゃろうし、ルシフェルの兄貴もねちねち文句を言うじゃろうな。ミカエルのおっさんも、息子が殺されかけたんじゃから、苦情くらいは言うじゃろうが」

「……息子を殺されかけて苦情で済ませられますかねぇ?」

「魔族にとってこんなこと割とある話じゃなからなぁ。問題は小林蓮とか言うアホみたいに強いお子さんの方じゃ」

「マモンさんも、一応小林くんを守るために、保険を準備してあったみたいっすから、悪い話にならなければいいんですけどねぇ」

「署長パワーでなんとかならんのか?」

「難しいっすね。向島市を超えちゃっていますし、いくら利用されたからといっても結構暴れちゃいましたからねぇ。まあ、仲介業者が全部悪いって丸投げしちゃえば、少しは罪も軽くなるでしょう。夏樹くんに殺されかけましたしね。いえ、実際は死んでましたよね、あれ」

「ゴッドが気まぐれを起こしたおかげじゃな。俺様もそうじゃが、夏樹にぶった斬られた会とか結成したくなるわい」

「脳天から縦に斬られなくてよかったっすね」

「……さすがのスーパー天使の小梅様でも、それじゃと死んでおったな!」

小梅と銀子がそんな会話をしていると、泣き止んでスマホを触っていた天照大神が顔を上げた。

「あの、小林蓮君でしたっけ? よかったらパパがその子を預かってくれるそうですよ?」

「……すみません。一応、聞いておきますけど、パパって誰っすか?」

恐る恐る尋ねた銀子が天照大神が大袈裟に笑った。

「やだなぁ、銀子ちゃんったら、自分のパパなんですから伊邪那岐命に決まっているじゃないですかー!」

「……夏樹くんがいないので代わりに言っておくっすね。またビッグネームきちゃったっす!」