作品タイトル不明
70「いろいろ事情があるんじゃね?」②
「愛の女神は、現代に生まれた神だ」
「現代に生まれた神?」
「まもんまもん。俺たちのような古い神魔とは違い、違いこそあるが近代化した社会の中で人間の想いから生まれた神なのだ」
「うーん。よくわからない」
現代に生まれた神と言われてもさっぱりわからなかった。
そもそもマモンを始め、サタンやルシフェル、ミカエルに天照大神だって、名前は知っていても、いつどこで生まれたのか知る者はそういないだろう。
そういう意味では、愛の女神が現代で生まれようと、古代で生まれようと、夏樹にとってはあまりぱっとしない。
「神の生まれなど気にすることはない。まもんまもん。奴らの存在は俺たちにとっては忌々しいが、人間たちにとっては悪ではないのだ」
「そうなの?」
「まもんまもん。愛の女神以外にも現代に生まれた神々はいるし、魔族もいる。奴らは結託し、古き神々や魔族を滅ぼそうとしているのだ」
「えっと、つまりマモンだけじゃなくて、サタンさんや天照大神さんとかを滅ぼそうと企んでいるってことでオーケー?」
「そういうことだ、まもんまもん」
だが、とマモンは付け加えた。
「神や魔族にも、現代の神々に付く者がいる。嘆かわしい、まもんまもん」
「なんで?」
「現代の神々は新たな神話を作ろうとしている。それに、古い神話では活躍できなかった者や、悪役として登場することに我慢できなかった者が味方し、自分たちの思い描いた立場を得ようとしているのだ。まもんまもん」
「えー! それだっさー!」
まったくだ、とマモンが頷く。
「神でも魔族でもそういう奴っているんだね。自分で神話作るぜ、じゃなくて、新しく神話作るのに一枚噛ませてくださいとか……ちょっと嫌だなぁ」
「意外に辛口だな。まもんまもん。ま、中には面白そうだという理由で加わる者もいれば、敗れた敵と再び戦い次は勝つために加わる者もいる」
「そんな現代の神がなーんで、優斗なんかに力を与えたんだろうね?」
一番の疑問はそこだ。
いつどこで接触し、力を与えたのか。
なぜ再び力を与えたのか。
それが夏樹にはわからなかった。
「そればかりは俺にもわからん。すまないな、まもんまもん。だが、愛の女神だけなら、おそらくは……」
「何か心当たりが?」
「まもんまもん。愛の女神は――自分だけの勇者を探している」
少なくとも、愛の女神にとって三原優斗は勇者ではなかったのだろう。
勇者に匹敵する力を与えながら、何を求めているのかわからないが、なんにせよ余計なことをしてくれたものだと思う。
「現代の神に関しては俺よりもルシフェルが詳しい。機会があればそちらに聞くといい。俺はあくまでも利害の一致で協力していただけなのだ。すまんな、まもんまもん」
「気にしなくていいよ。十分な情報だよ。まもんまもん」
「まもんまもん」
「まもんまもん」