作品タイトル不明
18「銀子さんに接触じゃね?」①
青山銀子は特に懐かしいとは微塵も思わない校舎の中をひとりで歩いていた。
「お茶が欲しいっす。お茶、お茶。自動販売機はこっちだったという記憶があるっすけど」
よほどのことがなければ、自動販売機の設置場所は変わったりしないだろう。
そんなことを考えて、かつての記憶を探って歩く。
「見つけたっす。いやー、昔と変わっていないっすねぇ。ライナップもそのまんま! 懐かしく――ねえっすぇ。この学校での唯一の思い出って、征四郎さんから魔剣太郎奪ったくらいっすねぇ」
ある意味、征四郎関連は懐かしいだろう。
魔剣太郎も良き相棒として活躍してくれている。
この学校に来た意味はあったと言える。
ただ、一般学校に転入してからの日々の方がとても充実していたし、どうしても銀子は、みんなで一緒に強くなりましょうということができなかった。
「しっかし、征四郎さんに復讐されかけたのもびっくりっすけど、愉快な仲間たちとして一緒に行動することになるとはまったく思わなかったっすねぇ。宇宙も異世界も行っちゃったっすし、人生何が起きるかわからないって言うのもそうっすけど、夏樹くんといると本当に退屈しないで楽しいっす」
「ふぅん、そんなに由良夏樹って子は楽しい子なんだ?」
お茶を買って飲んでいる銀子の背後から声がかかる。
特に驚きはしなかった。
気配を念入りに殺していたが、まだ甘い。
銀子には背後にいる人間が近づいていることは十分過ぎるほど把握できていた。
「そうなんすよ。私って振り回す側ってよく言われるっすけど、彼といると振り回されてばかりっす。もうこれは責任とって全力で女装してもらうしかないっすね!」
「……えっと、ごめん、言っている意味がよくわからないかな?」
苦笑しているのは、栗色の髪をショートカットに揃えた少女だった。
制服を着ているのでこの学校の生徒だろう。
わざわざ銀子に接触を図ったということは、この学校に「何か」がいて生徒と教師に影響を与えているという情報が現実味を帯びてきたことになる。
「まだまだ学生さんっすねぇ」
「うーん、学生は関係ないかなと思うよ。さてと、私がここに来たのは、あなたたちが邪魔だからだよ」
「おっと、自分から情報話しちゃうタイプっすか?」
「うん、話しちゃうタイプ! でもね、あなたを無効化できる自信があるからかな! 私はサトリの能力を持つからね! あなたの考えはすべて読めるの。だから、攻撃も何もかも私の前では全部丸見えだよ!」
少女は自信のある笑顔を浮かべ、銀子は目を見開いた。