作品タイトル不明
13「青春を謳歌している生徒たちは太陽よりも眩しくね?」①
「――皆さん、こちらに集まってください」
笹山が呼びかけると、生徒たちが駆け寄り規則正しく並ぶ。
「ちょっと汗もがっ」
「だから言わせねえよ」
汗臭い、と言おうとした夏樹の口を再び千手が封じた。
五月とはいえ、昨今はだいぶ暑い。
そんな中、体育館で懸命に走っている生徒が汗臭くないはずがない。
むしろ、青春の香りだ。
「皆さんに紹介しましょう。彼は由良夏樹くん、三原一登くん、水無月都さん、安倍円さん?そして、保護者たちです」
「俺様たちのことざっくり端折りおったぞ、この教師! あと円の性別で疑問符浮かべよった! 女の子みたいな顔をしとるが立派な男の子じゃ!」
「では、夏樹くん、一登くん、都さん、円さん、自己紹介をしてください」
「しがも俺様をスルーしとるんじゃが!」
小梅が文句を言うも、笹山は気もしていない。
「んむっ、むむむ」
自己紹介をしようとして千手の腕を夏樹が叩く。
「いいか、変なことは言うなよ。ちゃんと中学生らしい素敵な自己紹介をするのだ。相手は。年上だ。最低限の敬意を持とうな、いいな?」
千手の声にあまりにも力が入っていたので、夏樹は何度も頷いた。
ゆっくりと手を離され、口が自由になった夏樹がぺこりとお辞儀をした。
「向島市第一中学校からご好意で見学に来させていただきました、由良夏樹です。よろしくお願いします!」
小梅たちは「え? 偽物? 今、入れ替わった?」と動揺する。
「同じく、向島市第一中学校から見学に来ました三原一登です。よろしくお願いします」
「向島市第一中学校から見学に来ました、水無月都です」
「京都から来ました、安倍円です。僕は中学生やなく、高校生です」
小梅たちは、夏樹とは違い一登たちには「まあ、普通の挨拶じゃのう」と納得をしていた。
月読でさえ、夏樹に動揺の視線を向けている。
「自己紹介をありがとうございます。できることなら、私の自慢の生徒たち全員に自己紹介をしてほしいのですが、時間も限られていますのでまずは代表してクラス委員にお願いします」
「はい!」
「はい」
流す汗さえが煌めく黒髪の少年と、タオルを首にかけている黒髪の少女が前に出た。
「クラス委員の、安藤慎太郎です」
「クラス委員の、安藤まりえと申します」
「苗字で察したと思いますが、ふたりは従兄弟です」
「兄妹じゃないんかい! 察することなんぞできんわ!」
何をどう察すればいいのかわからなかった小梅が全力でツッコんだ。