作品タイトル不明
10「その奢りは後で黒歴史じゃね?」③
「ま、まさか、ほんのちょっとだけ思春期のせいでお茶目だった若き自分のせいで、今の私の首を絞めるとは思わなかったっすね。――しかし、過去のことは過去のことっす!」
「いえ、そういう話ではなく、保護者枠としてお招きしたので青山銀子さんにはこの場で待機でお願いします」
「……ちょ」
一体、銀子は短い学校生活で何をしていたのだろうか。
この学校にいた時間はとても短く、すぐに一般高校に転入していることは夏樹たちも知っている。
いくら夏樹でも、一ヶ月ほどで教師のトラウマになるようなことはできない。
「じゃあ、俺たちもここで待機でいいぜ。俺も、違う校の卒業生だが、現役霊能力者がうろちょろしても生徒は緊張するだろう」
「ダーリンが行かないのならあたいもいかなーい!」
「七森さんと虎童子さんはぜひ見学をご一緒にどうぞ」
「は? いいのか?」
「もちろんです」
「ちょいちょいちょいちょいちょい! ちょっと待ってほしいっす!」
「はい、なんでしょうか?」
「……なんでしょうかって、どうして千手さんと虎童子さんが見学してもよくて私が駄目なんすか!」
「ですから、青山銀子さんは――」
「私の方ではなく、千手さんなら良い理由を教えてほしいっす!」
笹山は、ちらり、と月読を見た。
月読は静かに頷く。
「では、七森千手さんと虎童子さんが見学をしても良い理由は――ツッコミ担当とお願いします」
「いやいやいやいやいやいや」
「おいおいおいおいおいおい」
「私だってツッコミくらいできるっすよ!」
「俺は別にツッコミ役じゃねえ!」
銀子と千手が、がたんっ、と音を立てて席を立つ。
笹山は冷静に告げた。
「月読先生曰く、ひとりでは無理なので七森千手さんは絶対に必要であると聞いています」
「あ、笹山先生。それは言わない約束でしょう」
「……すみません、口が滑りました。今のは聞かなかったことに」
「できるかぁ! 月読、先生。あなたまで俺をツッコミ役として酷使しようとしているのですか! さすがに、泣きますよ!」
「千手さん、誤解です。ですが、考えてください。さすがにこの面子を私一人では無理です」
「でしょうけど! でしょうけど! ですがねぇ!」
月読からツッコミ役として信頼されている千手が抗議の声を上げた。
しかし、月読としても、夏樹だけでも手に余るのに小梅、銀子、星子、菜々子とトラブルメーカーがいるのだから、千手を当てにしたいのだ。
「やれやれ、君たちは賑やかでいいですね」
「……俺、本当にこの先生の周囲をしったことっちゃねえってマイペースな感じが大好き!」
特に困った顔をせずに肩を竦める笹山に、夏樹はきらっきらとした瞳を向けた。
「いやいや、それよりも私の話はどうなったっすか!?」
「おとなしく待機してればええじゃろう」
「酷いっす!」
――銀子はお留守番となった。
「いや、ここまできた意味っす!」