作品タイトル不明
9「その驕りは後で黒歴じゃね?」②
「えー、落ち着いてください。笹山先生も夏樹くんに乗らなくていいですから」
「失礼しました。お話だけは伺っていましたが、実際にこうして会ってみると印象の良い子ですので、つい私も会話が弾んでしまいました」
「照れるなぁ。というか、俺のことを結構調べた感じですか?」
夏樹の疑問に、笹山は頷く。
「実を言うと、月読先生に相談するよりも前から生徒に刺激を与えるための人材を探していました。その時、知り合いから向島市で力を持った少年たちがいると聞いたのです」
「……水無月家、じゃないよね?」
「違います。年齢は少し離れているのですが、お世話になった先輩――森山田善次郎という方です。七森家当主七森康弘氏に秘書をしています」
全員が千手を見た。
「あの野郎、どこにでも出てきやがるな! 行動範囲広すぎだろう、森山田ぁ!」
「ダーリン、お医者さんからツッコミは短めに的確にって言われているでしょ? 落ち着いて、ひっひっふー」
「いいや、今回だけはたとえ俺の心臓が止まっても突っ込み続けるぞ! 森山田! お前、俺の幼少期から何かと気にかけてくれるいいおっさんだと思っていたけど、最近は行動が目に余るぞ、森山田! 中学生に懐かれて満更でもないとかいちいちメッセージ送ってくる森山田! いつまで経っても親父を引き取りにこない森山田! 色々な場所に親族がいる森山だぁあああああああああああああああああ!」
「やはり、七森千手さんは、七森家の方でしたか」
「あんたも俺が全力で森山田森山田と叫んでいるのによく普通に会話を続けられるな!」
「教師ですから、騒がしい生徒には慣れています」
「そう言う問題じゃねえだろう!」
「安心してください。由良夏樹くん、三原一登くんをはじめ皆様の情報を他言することはしません。森山田先輩に誓います」
「森山田に誓ってどうするんだ!」
「一応、言わせていただきますと、森山田先生も由良夏樹くんの情報を流したわけではないんです。目立った少年がいるというだけで、あくまでも私が調べただけなのです」
「あのね、会話が噛み合ってねえんだよ? もう森山田の話はいいの。あと由良はもう有名人だから今更だから!」
「千手さん酷い!」
「それでは、学校見学をそろそろ始めましょう。私の受け持つ生徒たちが、自主訓練しているのでぜひご覧になってください。ありがたいことに、私の生徒は頑張り屋さんばかりですので、みなさんの見学も歓迎してくれるでしょう」
「だから、会話のキャッチボール!」
千手は、ツッコミが上手く噛み合わずに苛立っている。
そんな千手の背中を虎童子がさすって落ち着くように言っていた。
夏樹と一登は、年齢が近い生徒たちが霊能力者としての訓練をしていることに、ワクワクし始める。
「――そうでした、その前にひとつ残念なお知らせがあります」
「ほえ?」
「青山銀子さん、あなたはここ会議室で待機していてください」
「はぁ!? なぜっすか!?」
「そんな、もしかして銀子さんが痛々しい制服姿だからですか!?」
「銀子、だからいつものスーツにしておけと言うたんじゃ!」
「ちょ、待ってほしいっす、真面目にこの制服のせいで――はっ、私の可愛らしい姿が生徒に刺激が強いからっすね?」
「超ポジティブ!」
「俺様よりもポジティブな奴じゃった!」
銀子は十五歳の頃に少しきただけの、制服を二十一歳で身につけている。
確かに、生徒に刺激は強いだろう。
「いえ、その痛々しい制服姿はさておくとして、あなたが短い在学中でやらかしたことがあまりにも多く、トラウマを背負っている教師がいますし、生徒に悪影響があったら困るということで待機をお願いします」
「――銀子さん、学生時代何してたの!?」