軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

56「悲劇は突然起きるんじゃね?」①

「って、感じで余興はこれくらいにするとして、さくっと倒させてもらいましょう。あ、倒すって殺すって意味っすから。一応、職業的にあまり物騒な言葉は使えないっすよね。でもほら、あなたって結構ころしているっすよね? 血の匂いすごいっすよ? ってなわけで、死んでくださいっす」

寿司を食べ終えた銀子は、割り箸で挟んでいた剣を離し、ビールを入れていたビニール袋にゴミを入れた。

あまり気は進まなかったが、一時的だということで民家の外に出ているテーブルの上にビールを置かせてもらう。

そして、腰に差していた魔剣花子を抜く。

「……魔剣を持っていたのか」

「気づかなかったっすよね? これ、一応、気づけないような術をしてあるっすよ。アイテムボックスなんていうファンタジーなものを持っていないっすから。できれば谷間にしまいたかったんすけど、頑張っていたら無理すんなって言われてしまったので……」

しょんぼりする銀子が構える魔剣花子は、かつてちゃんとした名前で神無家に所有されており、神奈家最高の剣士である神無征四郎が使い手として所有していた。

そんな征四郎が仕事の一環で霊能学校の講師を務めた時、銀子が戦い奪ったことで魔剣花子と名付け所有している。そのせいで、先日復讐されかけたが、今では良い仲間である。

青山銀子は剣や刀が好きだ。

特に、逸話がある刀剣なら尚更好きだ。

そして、刀剣好きの銀子は「剣を扱うのが飛び抜けて上手い」のだ。

剣士として特定の流派を学んだわけではなく、素振りの鍛錬もしない。

それでも、一流の剣士をことごとく斬り伏せたのが青山銀子だ。

柏原保は銀子を夏樹たちの仲間の中で弱いと認識しているが、それは誤りである。

確かに、特別な力はない。剣から眩い光線を出せもしない。夏樹のような規格外な力があるわけではなく、小梅のように天使と魔族のハーフでもない。神無征四郎や七森千手、安倍東雲、円と違い血筋だって普通の一般家庭だ。義政のようなまるで人生何周目かわからない貫禄もない。

それでも、弱くはない。

目立った力はなく、目立つ戦いもしていないゆえに、弱いというのはおかしい。

柏原保が知らないだけで、異世界で大暴れしている。

夏樹たちだって、単純に剣で戦えば銀子が一番とわかっている。

――つまり、「帝国」公爵、柏原保は「ハズレ」を引いたのだ。

「んじゃ、いくっすよー!」

とん、と軽快に地面を蹴った。

地面を這うように疾走すると、下から魔剣を斬り上げた。

「ちっ、岩鬼の剣!」

保が慌てて新たな剣を生み出し、振り下ろした。

もし抵抗が少しでも遅れていたら、股から頭にかけて斬り裂かれていただろう。

「新しい剣っすか! 羨ましいっすねぇ!」

岩鬼の剣ごと斬ろうとした銀子が勢いを殺すことなく振り上げた。

――ぱきんっ。

しかし、魔剣花子は岩鬼の剣を斬ることができず、折れてしまった。

「――あれー?」